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第35回 予備校講師の心構え ―― 10を伝えるには100を知れ! (中井悦司) 2014年1月

はじめに

 新年明けましておめでとうございます。今年も無事に本コラムを再開することができましたが、なんと、新年早々にシンガポールへの出張が決まりました。Red Hat本社のトレーニングサービス部門がOpenStackの新しい研修コースを開発したとのことで、その予行演習に「生徒役」として参加することになりました。このコラムが公開されるころには、シンガポールの研修センターでOpenStackのインストールにいそしんでいることでしょう。あくまで予行演習ですので、テキストやコース内容のチェックが主目的ですが、せっかくの機会ですので、専任トレーナーの説明テクニックも学んでやろうと目論んでいます。

アヒルと学ぶIT技術

 「説明テクニック」と言えば、みなさんは「Rubber duck debugging」という言葉をご存知でしょうか?
 これは「The Pragmatic Programmer(*1)」という書籍で紹介されているもので、プログラムのバグの原因が見つけられずに困ったプログラマが、机の上のゴム製のアヒルのおもちゃにプログラムの内容を声に出して説明するというものです。一人で考えていても解決できなかった問題が、アヒルに向かって説明していると、なぜか魔法のように解決策が見つかるというのです(図1)。

fig01

図1 プログラムのデバッグを手助けするアヒル

 もちろんこれは魔法でも何でもなくて、声に出して説明することで自分の考えが整理されていき、今まで気づいていなかった事や、分かった気になっていただけで正確に理解できていなかった事が洗い出されるというわけです。筆者は、この方法はIT技術の学習にも有効だと考えています。わざわざアヒルのおもちゃを用意する必要はありませんが、何か新しい技術を学ぶ際は、「自分の理解を人に伝えるにはどう説明すればよいのか」という事を常に考えるようにします。実際に声に出して説明したり、あるいは、説明用の資料を作成するのもよいでしょう。
 昨年、志茂氏が、『勉強するには講師が一番』というコラムで同様の事を書いていましたが、分かったつもりの事でも、他人に説明しようとすると意外と苦労するものです。筆者は予備校講師の経験もあるのですが、その時に感じたのは、「10の事を知っているだけでは、10の事を説明しても、生徒は3までしか理解しない」という事実です。あくまで感覚的なものですが、100の知識を背景に10の事を説明して、ようやく8程度まで理解してもらえるというのが実感です。
 筆者は、日常の仕事の一部として、さまざまな技術資料を作成したり、それをセミナーで解説したりすることがありますが、自分自身の理解を深めるという点で、実は自分にとっても有益な作業だと感じています。

次回予告

 さて、前回の予告では、今回はRed Hat Enterprise Linux 7(RHEL7)の話題を提供するはずでした。ちょうど先日、RHEL7の新機能である「firewalld」の解説資料を作ったところなので、こちらを紹介しておきましょう(*2)。
 舞台裏を明かすと、この資料は、筆者自身がfirewalldの機能や仕組みを実際に調査しながら並行して作成したものです。firewalldについては、公式ドキュメントに説明が掲載されているのですが、コマンドが複雑でどうにも頭に入らずに困っていました(*3)。そこで、「これらのコマンドをどのような順番で説明すると、うまく他人に説明できるだろうか?」―― そんな風に考えながら資料にまとめていくことで、自分の頭もすっきりと整理されました。これからは、あちこちのセミナーで、もう10年以上も(?!)RHEL7を使っているエキスパートのような顔でfirewalldの説明ができることでしょう。
 次回は、firewalldについてもう少し詳しく紹介したいと思います。

参考資料

*1)「The Pragmatic Programmer: From Journeyman to Master

*2)「Linux女子部 firewalld徹底入門!

*3)「Red Hat Enterprise Linux 7.0 Beta Security Guide (3.5. Using Firewalls)

 

++ CTC教育サービスから一言 ++
このコラムでLinuxや周辺技術の技術概要や面白さが理解できたのではないかと思います。興味と面白さを仕事に変えるには、チューニングやトラブルシューティングの方法を実機を使用して多角的に学ぶことが有効であると考えます。CTC教育サービスでは、Linuxに関する実践力を鍛えられるコースを多数提供しています。興味がある方は以下のページもご覧ください。
 CTC教育サービス Linuxのページ
 http://www.school.ctc-g.co.jp/linux/
 

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