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第104回 VMwareのパラダイムシフト:VMwareソフトウェアをプライベートクラウドプラットフォームとして捉える (野田貴子) 2025年2月

こんにちはー。野田貴子です。

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私はBroadcomでコアソリューションアーキテクトとして、VMware Cloud Foundation(VCF)の最前線で活動しています。VCF、VMwareの現在のユースケース、顧客へのメリットについて、技術的な議論をリードしています。

現在の課題は、VMwareを支持している人々でさえ、VMwareソフトウェアを「単なるハイパーバイザー」として捉えてしまう傾向があることです。本投稿では、皆さんの視点を広げ、VCFをプライベートクラウドプラットフォームとして考える価値をお伝えしたいと思います。実際のところ、VMwareソフトウェアはこの10年近く、ソフトウェアデファインドプライベートクラウドプラットフォームの中核を担ってきましたが、それについては別の投稿で詳しくお話しします。

この投稿は主にvSphereエンジニアを対象としていますが、エンジニアを指導する立場にある方にとっても、多くの示唆が得られる内容となっております。

では、技術的な歴史を少し振り返るところから始めましょう。

コンウェイの法則

コンウェイの法則はこう述べています:

「システムを設計する組織は、その組織のコミュニケーション構造を反映した設計を生み出すよう制約される。」

- Melvin E. Conway

つまり、ITインフラの質は、ビジネスにおけるコミュニケーション構造、いわゆる「サイロ」の良し悪しに大きく左右されます。

これをx86ベースのデータセンターが約30年(多少の誤差はありますが)どのように運用されてきたかに当てはめると、ITインフラはサイロ化し、その結果、非常に非効率であることが明らかになっています。サイロ化したITインフラには、内部の政治争い、仕事や領域の既得権益、不信感、コミュニケーション不足、責任の押し付け合い、そして人力で処理する膨大なチケットリストが横行しています。

これこそが問題の核心である、「実行の障壁」を生み出しているのです。

上述のように、従来のデータセンターでのサイロ化したアプローチは、単なる非効率にとどまらず、明確に「失敗」と言わざるを得ません。

VCFが牽引するプライベートクラウドプラットフォームのパラダイム

インフラエンジニアの皆さん、自分の管理下にあるワークロードがなぜ外部に移行されてしまうのか、考えたことはありますか。その理由は、おそらくインフラの利用者や消費者が、他の手段を使えばより迅速に目的を達成できると判断したからでしょう。ITエンドユーザー(どのようなタイプであれ)は、リソースを即座に利用可能にしたり、秒や分単位でのリソース提供を求めています。もはや数日や数週間、あるいは数カ月も待つことは許容されません。

しかし、VCFを導入することで、パラダイムシフトが起こります。あなたはクラウド管理者になり、プライベートクラウドプラットフォームの運営を担う立場となるのです。これにより、すべてがソフトウェア定義化され、優先事項が大きく変化します:

fig01

クラウド管理者(従来の「VI管理者」という制約の多い役割から脱却)として、手動でのライフサイクル管理やハードウェア構成といった雑務に煩わされることはありません。ネットワークで使用される物理スイッチの種類を気にする必要もなくなります。それらは抽象化され、本当に重要なこと――利用者が必要とするものを正確に把握し、セルフサービスを通じて秒や分単位で提供すること――に集中できるのです。日単位や週単位での対応はもはや過去の話です。

エンジニアにとってDay 2とは何か

それは、「ポリシーベースの管理」によって日常が形成されることを意味します。VMサイズのポリシー、ストレージポリシー、ネットワークポリシー、セキュリティポリシーなど、あらゆる面でポリシーを定義することが求められます。

消費者にセルフサービスを提供する際も、自分でインフラをプロビジョニングする際も、適用するポリシーを定義すれば、あとはプラットフォームが自動的に処理します。

もう、「ネットワークチームがファイアウォールルールを作成するのを待つ必要がある」という状況は過去のものです。

もう、「セキュリティチームのVM承認待ち」で作業が止まることもありません。もう、「ストレージチームがLUNをゾーニングするのを待つ必要がある」という障害も存在しません。

あなたの行動は、これからはすべて「能動的」なものになり、「他人待ち」の対応に縛られることはなくなるのです。

心配する必要はありません:ガードレールと自動化が解決します

私の経験上、VCFをプライベートクラウドプラットフォームとして導入する際にエンジニアが抱く不安が主に2つあります。ここでは、それらの不安を解消します:

  • セルフサービス提供時に、人為的ミスで問題が発生するのでは?
    答えは簡単です。セルフサービスには「ガードレール」を設定でき、それを管理するのはあなたです。例えば、「4台のVMを展開するつもりが40台になってしまうのでは?」という懸念は、ガードレールと制限で制御可能です。また、「VMが間違ったネットワークに配置されるのでは?」という不安も、ポリシーによって誰が何を、いつ、どこで行えるかを明確に定義・制限できます。
  • それで自分の仕事量が増えないか?
    長期的には、答えは「いいえ」です。今までその場しのぎで行っていた作業が、計画的に前倒しで行う形に変わるだけです。皮肉なことに、私が話すエンジニアたちから最もよく聞く反論は「新しいプロジェクトに取り組む時間がない」というものです。しかし、VCFの自動化の主な目的は、あなたに必要な時間を確保することです。これからは、「システムを維持する作業」(KLO = Keeping the Lights On)にかける時間が減り、組織のためにイノベーションに取り組む時間が増えるでしょう。
VCFの間違ったアプローチ

VCFをアラカルト形式のバンドルとして扱うのは、よくある間違いです。それはVCFの本来の価値を引き出す方法ではありません。

確かに、VCFのコンピュート、ネットワーク、ストレージ、管理といったさまざまな機能を段階的に実装する「Crawl, Walk, Runアプローチ」を採用することはできます。

しかし、VCFの最大の価値は、フルスタックとして実装することで得られます。そのため、フルスタック導入を目指したロードマップを構築することを強くお勧めします。

ITインフラをイノベーションの推進力に

どの組織でも「デリバリーまでの時間」(Time-to-delivery)は極めて重要です。単なるコストセンターとして見られるのではなく、実際にビジネスに利益を生み出す貢献者として評価されたいと思いますよね。

また、VCFを導入・運用してクラウド管理者としてのスキルを身につけることで、業界の最新動向に対応し続けることができます。

VCFは、あなたのキャリアにとっても非常にプラスになります。

※本コラムはVMware社が公式に発表しているものでなく、翻訳者が独自に意訳しているものです。
原文は以下をご覧ください。
https://blogs.vmware.com/cloud-foundation/2024/12/09/the-vmware-paradigm-shift-thinking-of-vmware-software-as-a-private-cloud-platform/

 

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