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第31回 いまさら聞けないVoIPの仕組み 2013年11月

 今回のInst. Tech Viewは、VoIP(Voice over IP)についての話題です。

 IT業界の主要キーワードとして、ここ数年「クラウド」や「仮想化」などと並び「コラボレーション」や「ユニファイドコミュニケーション」という言葉が挙がっています。

 この「コラボレーション」や「ユニファイドコミュニケーション」を要約して表現するならば「コンピュータシステムを使用した、様々な通信(データ・音声・ビデオ・チャット・プレゼンスなど)の統合」と言えるのですが、中でも中心となるテクノロジーが、音声をIPネットワークを使用して伝送する技術、VoIPです。

 もはや一般的にも浸透した感のあるVoIPですが、今回はその基本の仕組みについて、VoIPのプロトコル紹介を中心にご覧頂きたいと思います。

VoIPのプロトコルは?

 VoIPはプロトコルの名称ではありません。音声をIPネットワークで伝送する技術を指す用語です。ではVoIPのプロトコルとは何なのでしょうか。

 VoIPを実現するためには、2つの異なる役割を持ったプロトコルを組み合わせる必要があります。その役割とは「呼制御」と「音声伝送」です。

 この役割の違いをご理解頂くため、例として我々が電話を使用して誰かと会話をするための流れを基に説明します。今回は固定電話を例にします。

 ①電話機の受話器をあげる
 ②プーという音(ダイヤルトーン)を聞く ※電話が出来る状態と確認
 ③相手の電話番号を入力する
 ④トゥルルルルという音(リングバックトーン)を聞く ※呼び出し中と確認
 ⑤相手が電話に出て音声通話の準備ができる
 ⑥音声で会話を行う
 ⑦受話器を置き電話を切る

 この中の①~⑤および⑦の処理、つまり電話を接続したり切断したりするための処理が「呼制御」、⑥の音声を伝えるための仕組みを「音声伝送」です。
 それぞれの処理に使用されるプロトコルを次に見ていきましょう。

呼制御のプロトコル

 標準化されている代表的な呼制御のプロトコルとして以下が挙げられます。

  • H.323
  • MGCP
  • SIP

 どれも電話を接続したり切断したりするための処理を行うという目的は同じですが、違いをご理解頂くため端的に特長をご紹介します。

 H.323はITU-Tが標準化したプロトコルです。ITU-Tとは国際電気通信連合の電気通信標準化部門で、過去にISDNの規格を制定するなど電話に精通した団体です。
 H.323の規格の特長を端的に言うと、ISDN上で流れる呼制御のメッセージをIPネットワーク上で流せるようにしたものです。そのため元々ISDNに精通した方からは動作が理解しやすいのですが、IPに慣れ親しんだ方は理解し難い面もあります。ただし歴史も長く、使用実績も多いので特に企業の拠点間通信などではH.323を採用しているケースも多く見受けられます。

 一方MGCPやSIPはIETFが標準化したプロトコルです。IETFとはインターネット技術の国際標準を議論策定する任意団体で、RFCを取りまとめていることでも有名です。言わばインターネットの技術標準を作り上げてきた団体と言えます。そのため、MGCPやSIPは電話通信技術の流用ではなく、それまでのRFCで策定してきたデータ通信技術(Webアクセスに使用するHTTPや、メール送信に使用するSMTPなど)を流用した仕組みになっています。結果としてデータ通信の世界に慣れ親しんだエンジニアにとって理解しやすいプロトコル設計となっています。

 MGCPはマスタスレーブ方式を採用し、中央で集中管理をする必要がある一方で、ユーザ側が使用するクライアントマシンを安価に実装することができる設計となっています。そのため、家庭のアナログ電話機をインターネットに接続し安価で電話をかけることができるIP電話サービスと相性が良く、数社ではMGCPを使用したIP電話サービスを提供しています。

 SIPはマスタスレーブ方式ではなく、ピアツーピア方式を採用しているため位置づけとしてはH.323に近いものとなります(H.323もピアツーピア方式)。SIPはIETF標準というわかりやすさや、各種サーバを使用した集中管理、プレゼンス機能など、その拡張性と汎用性が受け入れられたことで多くの企業にSIPが採用されました。IP電話サービスや、スマートフォン向けのコミュニケーションアプリにもSIPが採用されているケースが見受けられます。

 端的にまとめるのであれば、歴史と実績のH.323、大規模展開に向くMGCP、注目されるSIPといったところでしょうか。

音声伝送のプロトコル

 前述した呼制御プロトコルでは音声を伝送することはできません。音声を伝送するためには別なプロトコルを使用する必要があります。
 この音声伝送プロトコルとして一般的なのが「RTP」です。

 RTPはUDPをベースにしつつシーケンス番号を組み込んだ実装となっており、結果としてリアルタイム性が高く順序制御も行うことができるというVoIPに非常に適したプロトコルです。呼制御で使用するプロトコルに関わらず、音声伝送ではRTPを使用するケースがほとんどです。

 今回はVoIPの概要紹介に留めましたが、CTC教育サービスではVoIP(ユニファイドコミュニケーション)分野に関しても力を入れたラインナップを多数ご用意しております。VoIPについて知識を深めたい方、IP電話の導入を控えている方など、是非受講をご検討頂ければと思います。

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