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第41回 データセンターにおける光ネットワーク技術の進化 (中井悦司) 2018年7月

はじめに

 今回は、2017年に公開された論文「Datacenter Optics: Requirement, Technology and Trend」をもとにして、データセンター内部で用いられる光ネットワーク技術について説明します。この論文では、Googleのデータセンターにおける光ネットワーク技術の活用に加えて、今後の光ネットワーク技術の発展についても議論がなされています。

Googleのデータセンターにおける光ネットワーク

 本連載の第13回からのシリーズで紹介したように、Googleのデータセンターでは、Closトポロジー型のネットワークが採用されており、図1に示すような、ToR(Top of Rack)、Edge Aggregation Block、Spine Blockの階層型の構造を持ちます。

fig01

図1 Googleのデータセンターネットワーク(論文より抜粋)

 このネットワークシステムにおいて、数メートル以内のラック内接続ではメタルケーブルが使用されますが、各モジュール間の接続は、すべて光ケーブルによる接続となっており、接続距離は、数メートルから最大2キロメートルに及びます。また、光ケーブル接続にもさまざまな技術があり、ネットワーク帯域、エネルギー消費量、メンテナンス性の観点から、接続箇所ごとに最適な技術が選択されます。光ネットワークに関連する機器が消費するエネルギーは、データセンター全体の10%以下ですが、各接続ポート(トランシーバー)の消費エネルギーによってポートの集積度が変わるため、より高い密度で集約するという観点から、より消費エネルギーの少ない技術が必要とされています。

 図2は、Googleのデータセンターで採用された光ネットワーク技術の進化を示します。2007年に10Gb/sの光ネットワーク技術が導入され、その後、40Gb/s、100Gb/sと高速化が進み、本論文の執筆時点において、2017年以降には、400Gb/sに対応した技術の導入も計画されているそうです。

fig02

図2 Googleのデータセンターで採用された光ネットワーク技術(論文より抜粋)

 また、図3は、スイッチ機器の1つのフロントパネルに集約されたポートの総帯域、そして、エネルギー消費率の変化を表します。どちらも縦軸は対数スケールになっていますので、これらのグラフより、総帯域が指数的に増加すると共に、帯域あたりのエネルギー使用量は指数的に減少していることがわかります。

fig03

図3 フロントパネルあたりの総帯域とエネルギー消費率の変化(論文より抜粋)

光ネットワーク技術の進化

 この論文では、今後、光ネットワークの帯域をさらに増加するための手法について、簡単な解説がなされています。これには、大きく、図4に示す3つの方向性があるそうです。

fig04

図4 光ネットワークの帯域を向上する技術の選択肢(論文より抜粋)

 1つは、光信号を複数の周波数、あるいは、複数の偏光成分に分割することで、複数の通信を並列に行う技術の活用(Optical lanes)です。一般に、WDM(Wavelength Division Multiplexing)、および、PDM(Polarization Division multiplexing)と呼ばれる技術になります。この場合、通信路の増加に応じて接続ポート(トランシーバー)部分の処理がより複雑になるため、製造コストの増加、あるいは、消費エネルギーの増加が起きる可能性のある点が課題となります。

 もう1つは、1つの通信路における周波数を上げることで通信速度を向上するというアプローチです(Symbol rate)。これは、最も直接的で、コスト効果も高い手法と言えますが、そのためには、電子回路、あるいは、光変調器の製造技術の向上が必要となります。論文の中では、50Gボー(「ボー」は1秒あたりの変調回数の単位)を超える変調速度を実用化するには、まったく新しい技術革新が必要だろうと説明されています。

 最後のMultilevel codingは、光信号の中により高い密度で情報を埋め込むエンコード技術の活用です。この場合、情報密度を上げるにしたがって、ノイズに伴うエラーの発生率も上がるため、通信品質の向上を同時に実現する必要があります。また、長距離の光ネットワークでは、コヒーレント変調とよばれる、新しいエンコード技術の活用が始まっています。ただし、コヒーレント変調を利用した場合、接続ポートにおける信号処理の消費エネルギーが高くなるため、データセンターネットワークでの利用にはまだ課題が残るということです。

次回予告

 今回は、2017年に公開された論文「Datacenter Optics: Requirement, Technology and Trend」をもとにして、データセンター内部で用いられる光ネットワーク技術の発展について説明しました。光ネットワークにおいても、まだまだ新たな技術革新が求められていることが理解できたと思います。

 次回は、再び、Googleのソフトウェア開発に関する話題として、コードレビューの手法を紹介したいと思います。

Disclaimer:この記事は個人的なものです。ここで述べられていることは私の個人的な意見に基づくものであり、私の雇用者には関係はありません。

 


 

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