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第3回 サーバ仮想化の実装(2) - 各ハイパーバイザーの特徴 (志茂吉建) 2012年9月

 前回は、仮想化の方式などについてお話させていただきました。第三回目の今回は、現在主流となっている各ハイパーバイザーの特徴をご説明したいとおもいます。現在、提供されているハイパーバイザーはVMware vSphere ESX、Ctrix Xen、KVM、Hyper-Vの四種類です。CPUを仮想化マシンから利用する機能はほとんど変わりません。しかし、メモリ利用方法、仮想マシンの冗長化、ストレージの利用方法についてそれぞれ特徴があります。Winodws系、Linux系のメインディストリビューションなどはどのハイパーバイザーでもサポートされます。しかし、FreeBSD、Solaris、MS-DOSといったOSのサポートにサポートしていないハイパーバイザーもあります。また、当然のことながら高機能であればあるほど価格も高くなります。コスト対効果なども考慮して製品を選ぶ必要がありますが、このコラムが製品の購入のための参考になれば幸いです。

VMware vSphere ESX

 VMware vSphere ESXはVMware社から提供されているハイパーバイザーの一つです。企業向けのエンタープライズ市場で大きなシェアを占めています。複数のハイパーバイザーを統合的に管理できるvCenter Serverが提供されているのが大きな特徴の一つです。複数のハイパーバイザーをまるで一つのコンピュータリソースのように利用することができます。また、メモリの効率的な利用方法の提供や、CPUやメモリに加え、ストレージの自動負荷分散機能なども搭載しています。それに加え、バックアップ、ネットワークセキュリティなど様々な機能がオプションとして提供されており、そのほとんどがvCenter Serverからコントロールすることが可能です。

Citrix XenServer

 もともと、Xenはケンブリッジ大学のコンピュータラボラトリーで開発されていました。2010年よりGPLv2ライセンスでオープンソースソフトウェアとし、Xenコミュニティーが開発を続けています。Xenでの仮想マシンの実行単位はドメインと呼ばれます。その中でも、最初に起動されるドメインをドメイン0(dom0)と呼びます。dom0にはOSが必要となりますが、通常はLinuxが動作します。Linuxカーネル 2.6.23までは、Xenを動作させるには修正が必要でしたが、現在は統合されていますのでそのまま利用することが可能です。
 XenServerは、オープンソースのXenをもとにCtrix社が商用製品として提供しているハイパーバイザーです。XenServerには、XenCenterとよばれる管理ツールが提供されています。XenMotionという機能を利用すると起動している仮想マシンをハイパーバイザー間で移動することができる活性マイグレーションの機能を利用することも出来ます。XenServerやXenCenterは商用製品ですが、小規模な環境であれば無償で利用することも可能です。

KVM

 KVM(Kernel-based Virtual Machine)は、Linuxカーネル仮想化基盤です。Linuxカーネル 2.6.20以降で標準搭載されています。KVMは準仮想でWindowsやLinux用のドライバーが提供されています。また、仮想マシンのハードウェア周りの動作については、QEMU(プロセッサエミュレータ)が担当することになります。KVM利用は主にRedHat社で推進されており、管理ツールなども整備が始まっています。Linux Kernelそのものにバンドルされることになりますので、原則費用はかかりませんが、RedHat Enterprise Linuxを利用する場合はサブスクリプションの費用が必要です。後発ですので、管理面や冗長化機能などでこれから成長が期待されます。

Hyper-V

 Hyper-Vはマイクロソフトから提供されているハイパーバイザーです。Hyper-V 2.0はWindows Server 2008R2にバンドルされています。また、無償版のHyper-V Server 2008も提供されています。管理ツールなども提供されており、活性マイグレーションも可能です。Windows Serverにバンドルされているので追加費用が必要ないことも特徴の一つです。Hyper-V 2.0までは、VMwareに比べメモリ管理がすこし弱点でしたが、Hyper-V 3.0では「Dynamic Memory」とよばれる機能が導入され、メモリ管理が強化されました。

まとめ

 4つのハイパーバイザーを取り上げましたが、いかがでしたでしょうか。性能面ではハードウェアの機能を利用しますので、ほとんど変わらないと思いますが、機能面が大きく変わってきます。特に、管理のしやすさ、冗長性などは、VMwareに一日の長があるといわざるを得ません。価格面に関しては、機能と比例しているのも事実ですので、いろいろな要素を検討して導入するハイパーバイザーを選択する必要があります。なお、VMware、Ctrix、KVM、Hyper-Vともすべて試用版もありますので、是非試してみてください。

 


 

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