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第6回 外気、水冷、液冷による冷却効率改善 (杉田正 @sugipooh) 2013年12月

 伝統的なデータセンターではエアコン「冷凍機(圧縮機)」を使い冷却しています。気体が膨張するときに熱を奪う仕組みで冷却するため、循環しながら再圧縮に圧縮機を使うのです。最新エアコンなどは「ヒートポンプ」と呼ばれる熱交換機構を使い効率よく稼働しますが、「圧縮機」は使っています。
 10年前のエアコンと比べると最新機は大幅に改善され、同じ熱量の冷却であれば消費電力は"ほぼ半分"になっています。大型エアコンの設備寿命設計は10年から15年ですので、交換時期を短縮して新型エアコンに取り替えれば、大きな電力削減になり数年で設備交換費用が賄える場合もあります。
 現状のPUEが2.0~3.0であっても1.45~1.65程度にまで改善されます。

 クラウドサービスのように、利用が無料で広告収入が主であれば、空調電力の効率化はそのまま利益になりますので、Google、Amazon、Microsoft、Facebook、YahooそしてAppleなどでは、さらなる空調改善研究開発が進んでいます。日本でも大規模なデータセンターでは外気導入システム採用が始まっています。

 エアコン「冷凍機(圧縮機)」を使わずにデータセンターは冷却出来ないと思われていたのは数年前までで、FacebookやMicrosoftでは数年前より外気導入データセンターやコンテナを設計・建設して稼働しています。おおよそのPUEは1.10であり、大幅な省電力を実現しています。
 外気導入データセンター構造では「ホコリ」「温度湿度制御」「塩害・腐食性ガス」対策などに新しい技術が必要であり、サーバーの耐環境性向上も必須な条件です。エアコンを使い密閉されたデータセンターとは違う技術が多く必要です。しかし大きな電力を消費する「冷凍機」を使わないため電源設備も縮小され、初期設備コストが低くなります。

 「ホコリ」はフィルターで除去しますが、多種多様なフィルターがあります。メッシュが微細なフィルターを使うと目詰まりで交換もしくは洗浄回数が増えるだけでなく、吸気ファン動力も増えるため本来の目的である省電力が実現出来ません。適切なフィルター選びが必須です。
 「温度湿度制御」では外気が乾燥状態な場合や大雨などの時、データセンター内に"静電気障害" "結露"などを発生させてはいけません。制御基準として伝統的なデータセンター温度湿度を定めた米国暖房冷凍空調学会ASHRAE基準は2011年11月にFacebook外気導入データセンターに適合して大幅に拡張されています。また最近のサーバーは40℃に耐えるサーバーが多くなってきましたので少しの工夫で夏季高温対策が可能です。冬季低温対策は外気吸入をゼロもしくは少量としてサーバー熱を循環し解決できます。
 「塩害・腐食性ガス」はデータセンター設置場所に大きく影響されますが、高性能なフィルターを使うことにより対策出来ます。しかしながら運用におけるメンテナンスフリー要求があり、「水冷」を使う「間接外気導入」設備も増えてきました。

 「水冷」では"熱搬送"を空気(外気)から"水"や特別な"液体"を使い搬送します。空気と比べて熱搬送能力は3倍程度も有り、回収した熱の再利用も容易になります。Googleデータセンターは内部にコンテナを設置して床下に"水"を流す構造を公開していました。最近公開されている写真ではホットアイルに大型熱交換コイルを設置して"水"を流しデータセンター内に熱気を排出しない構造が公開されています。

 スパコンの世界で「水冷」は多くの実績があり、コンピュータそのものを液体に漬ける「液浸」などの技術もあります。今後さらに高密度高発熱なサーバーを多く使うクラウドデータセンターでも"液体"を使う熱交換器が大量に使われる時代が近づいています。

 


 

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