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第24回 アメリカを探しに 2013年6月

 "Look for America" は、サイモン&ガーファンクル(Simon & Garfunkel)の曲「アメリカ」(America)で繰り返し流れるサビのフレーズです。

 「一箱の煙草とミセス・ワグナーのパイを買って僕等は歩き始めた、アメリカを探しに。」

 ポール・サイモンが書いた歌詞を読むと繰り返される「アメリカを探しに」は、アメリカという国を指していないと感じられます。「アメリカ」は曲のテーマどころかむしろ何も意味していないのかもしれません。解釈は受け手次第ですが、筆者はアメリカン・ニューシネマの代表作である「タクシードライバー」のロバート・デ・ニーロを想起しました。「アメリカ」で描かれているロードムービーの風景とは異なりますが、デ・ニーロ演じる主人公の心情には同じ風景が見えました。

 ところで「アメリカ」と「クラウド」が酷似している様に感じることが頻繁にあります。

 会話の中で「クラウドの▲△▲」とか「クラウドが○●○」と表現される場合には、それは何も指していない、何も意味していないことが多いように感じます。「クラウド」という言葉が使われる文脈やその発言の意図にもよりますが、他の言葉に置き換えても成り立つことが多いのです。
 これは「クラウド」だけに限ったことではなく、IT業界に流布されているバズワードやアンブレラタームも同様で、「音」だけを繰り返しても、その言葉が意味することの本質や実際の対象を捉えることは出来ないのは道理です。
 以前に流布された「ウェブ 2.0」(Web 2.0)も時代が急激に変化する潮流を表現した言葉であり時代を駆動するムーブメントとされる現象につけた名前です。この言葉だけで実際に起こっている個々の事象とそれによる影響を理解することはかないません。

 一般に何事も俯瞰して物事の全体像を捉える姿勢がまずは重要でありますが「森を見て木を見ず」で投了してしまっては、各論に踏み込もうとする気がない意思の表れでありましょう。それは単に該当する当人が理解できる範囲のみで判断することでご自身の理解が及ばない全てを丸めて切り捨ててしまう、あるいは、曲解することとなり、曳いては勘違いや誤った指針を立てるなどの弊害すら起こり得ます。

 これには顕著な例があります。

 ミニコンを擁し一時代を築いたDEC(Digital Equipment Corporation)社の幹部が、検索エンジンの草分けであったAltaVista(アルタビスタ)をハードウェアの性能を示すデモプログラムに過ぎないと決め付けたことが知られています。
当初、AltaVistaはマシンの性能指標が目的だったのでしょうが、全文検索エンジンとして公開され一躍広く認知された存在となりつつあったにもかかわらず、その有用さと将来性を見抜けなかったことが彼等自身の寿命を縮めました。彼等が理解可能なものは眼下にあるハードウェアだけだったのでありましょう。理解できるものだけを理解し、観たいものだけが見えるのは人間の習癖であります。
 しかし、それでは取り巻く潮目の変化を捉えることが出来ず、警鐘を打ち鳴らす音が聴こえず、その価値が解からず、その偏狭さ故に将来を予見できないことになります。その後のDECの凋落ぶりはご存知のとおりです。

 彼等は赤の丸薬と青の丸薬の二択が与えられ、その選択を誤ってしまったのです。確かにあの時は選択肢があってAltaVistaが現在のGoogleとなっている未来を自ら選ぶことも出来たのでしょうが、もしかするとその選択肢の存在にすら気付いていなかったのかもしれません。ある種の寂寥感すら覚えます。皮肉にも"AltaVista"は「高いところから見る」という意味だそうです。ご興味があればジョン・バッテルの著書をご覧ください。

 一本一本の樹に対峙してそれぞれが異なる樹であることを理解することで、どのように森を構成しているかの意味とその集合体としての本質の理解に到達できるのだと考えます。
ある一本の樹を担当する、あるいは、森全体を管理するなど各々で立場の違いはありますが、「木を診て森を視る」という双方の視点を持ち適時移動させることが肝要であろうと考えます。

 以前の記事タイトルで「転石苔を生ぜず」を取り上げましたが、これを意味している「ライク・ア・ローリング・ストーン」(Like a Rolling Stone)という曲は、時代を象徴するアーティストであるボブ・ディラン(Bob Dylan)の曲です。この曲の演奏には名ギタリストのマイク・ブルームフィールドと名コンポーザーのアル・クーパーがオルガンで参加していて、1965年発表の「追憶のハイウェイ61」(Highway 61 Revisited)というアルバムに収録されています。

 今回記事のモチーフである"America"は1968年リリースの「ブックエンド」(Bookend)に収録されていますが曲の完成は1965年とされています。同年発表の「サウンド・オブ・サイレンス」(The Sound of Silence)と同じデモテープに入っていたためです。"The Sound of Silence"は映画「卒業」のテーマソングとしてとても有名です。このダスティン・ホフマン主演の映画もアメリカン・ニューシネマを代表する作品です。

 このように1965年を境にフォークからフォークロックへとソリッドに変貌する流れと同時に、ロックンロールからロックへと脱皮し成長する二つの激流がぶつかり、その果てにはルーツであるアメリカに逆流となってブリティッシュ・インヴェイジョンが巻き起こるまでに至りました。私感ですが1965年はロックが誕生し元号が変わったと言えるほど潮目が大きく変わった特別な年だと言えるでしょう(別の意味でも筆者にとって1965年は特別です)。
 これからも音楽や映画だけでなくコンピュータとインターネット、そして何より人心の潮目の変化を見逃さないように心したいと思います。

 次回もお楽しみに。

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