IT・技術研修ならCTC教育サービス

サイト内検索 企業情報 サイトマップ

研修コース検索

コラム

スーパーエンジニアの独り言

CTC 教育サービス

 [IT研修]注目キーワード   Python  UiPath(RPA)  最新技術動向  OpenStack  システムトラブルシュート 

第47回 噂 2015年7月

 1967年に結成されたブルースバンドのフリートウッド・マック(Fleetwood Mac)というバンド名は、メンバーであるミック・フリートウッド(Mick Fleetwood)とジョン・マクヴィー(John McVie)から命名されたのですが、彼らがバンドのフロントマンではないのです。首謀者であるピーター・グリーン(Peter Green)がリズムセクションである彼らを自分が結成したバンドの名前にしたからなのだそうです。ピーター・グリーン達は、ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ(John Mayall & The Bluesbreakers)の元メンバーでもありました。ブルースブレイカーズは、クリーム(Cream)結成以前のエリック・クラプトン(Eric Clapton)も一時在籍していたブルースバンドの大御所だったのです。ですから結成したフリートウッド・マックも英国出身のブルースバンドとして人気を博しました。このようにブルースをベースとして発進したフリートウッド・マックがいつしかフォーク色を強めた音に変化します。更にその後にはロックやジャズへのアプローチも加えるといった変遷を繰り返します。これはピーター・グリーン、その後のボブ・ウェルチ(Bob Welch)と度重なるフロントマンの交代により主導権が揺れ動きバンドの方向性そのものが変質するという紆余曲折を経ていたのです。そしてボブ・ウェルチも去ってバンドが危機を迎えていた折も折、新作レコーディングで渡米した際に米国人の男女デュオの曲「フローズン・ラブ」"Frozen Love"を偶然聴きます。それはバッキンガム・ニックス(Buckingham Nicks)として活動していたリンジー・バッキンガム(Lindsey Buckingham)とスティーヴィー・ニックス(Stevie Nick)を新たなフロントマンとして参加する顛末を迎えます。そうしてリンジーとスティーヴィーが加わった新生フリートウッド・マックとしての第二作目が1977年に発表したアルバム「噂」"Rumours"です。

 世界中で売れたアルバムと言えばマイケル・ジャクソン(Michael Jackson)の「スリラー」"Thriller"が断トツなのは誰もがご存じでしょう。それに続くアルバムセールスを誇るものは、ピンク・フロイド(Pink Floyd)の「狂気」"The Dark Side of the Moon"、AC/DC の「バック・イン・ブラック」"Back in Black"と続きます。また映画にあやかり大ヒットを記録したサウンドトラックアルバムとしてビージーズ(Bee Gees)の「サタデー・ナイト・フィーバー」"Saturday Night Fever"、ホイットニー・ヒューストン(Whitney Houston)の「ボディガード」"The Bodyguard"なども名を連ねます。

 これらのモンスターアルバムに匹敵するのが、三十一週間の長きに亘って全米No.1の座に君臨したフリートウッド・マックの「噂」なのです。1978年にグラミー賞で最優秀アルバム賞を獲得したこのアルバムは累計で四千万枚以上の売り上げを積み重ねているポップ・ロックの金字塔です。この「噂」"Rumours"に収録されたアルバム一曲目がセカンド・ハンド・ニュース"Second Hand News"で「俺はただのお古さ」という自虐的な歌詞の曲です。

 今回の記事は読者にとって"Second Hand News"かもしれませんが、アマゾンウェブ サービス(Amazon Web Services, AWS)の最新ニュースのキュレーション・バージョンでお送りします。AWSにて提供される各サービスは、機能エンハンスメントや新サービスの登場などアップデートが絶え間なく続いているのはご承知かと思いますし、AWSにご興味ある方は日頃からニュースをチェックされていることとは思いますが、大量に発行されるニュースの中、直近アップデートで目ぼしいものをピックアップしてみました。ここでは発表されたニュースへの簡潔な説明の付記することも試みます。(ニュースソースは"AWS Official Blog"及び「Amazon Web Services ブログ」です)

(1) AWS LambdaでのJava 8サポートが開始されました [15 JUN 2015]
 新しいサービスであるAWS Lambdaは、オンデマンドでファンクションを実行可能な仕組みです。必要とされるファンクション(機能)をプログラムとして作成して登録することでイベント発生のタイミングで実行出来るという機能です。リソース(Amazon S3、Amazon Kinesis、Amazon SNS、Amazon DynamoDB、Amazon Cognitoなど)からのイベント発生をトリガーとしたタイミングでファンクションを実行するという、まさにオンデマンドの仕組みです。AWS Lambdaはファンクションを動作させるタイミングで実行に必要なコンピューティング・リソース(EC2など)環境を用意してプログラムコードを実行してくれます。コード実行後は、不要なリソースを廃棄してくれるという親切さです。ですからリソース管理不要で簡便、しかもコード実行に使用したリソースのみの課金でお財布にも優しいのです。但し、サービス発表当初はAWS LambdaがサポートしているのはサーバーサイドのJavaScript(Node.js)だけでしたが、今回のエンハンスメントにより汎用プログラミング言語 Java 8 が採用されることで、より広範囲なバックエンドシステムでAWS Lambdaを使用することが可能になりました。様々な利用方法が期待されます。

(2) T2のインスタンスタイプにLargeサイズが追加されました [17 JUN 2015]
 T2 は T1 の後継として昨年登場したばかりのインスタンスタイプですが、t2.micro の8倍のメモリ容量となる8(GiB)が利用可能な t2.large を追加しました。T2というカテゴリはCPUを一時的にバースト使用が可能であり、しかも今回のt2.large により十分なメモリ搭載することで、ニーズにマッチした性能をご提供できます(インスタンスタイプについては後述の解説をご覧ください)。但し、単位時間あたりのお値段も t2.micro の約8倍($0.104)になることにもご留意下さいませ。

(3) CloudFrontアップデートによる最大およびデフォルトTTLの設定 [17 JUN 2015]
 コンテンツ配信ネットワーク(Contents Delivery Network, CDN)のサービスであるAmazon CloudFrontはコンテンツを世界中に配置されているエッジロケーションのキャッシュサーバーに配置することで機能します。この際にCloudFrontでのオブジェクトキャッシュ期間に対するTTL(Time to Live)の指定ですが、これまでもMin TTL(Minimum Time to Live)を指定することで任意のキャッシュ保持期間を指定することが可能であり、指定ない場合にはデフォルトで24時間という有効期限が設定されます。ですが実際にはオリジン・データとなるコンテンツ側となるHTMLの拡張ヘッダに記載されているはずのCache-Control max-age ディレクティブ(もしくは Expiresヘッダーフィールド)での指定が有効となるべきという利用方法が基本となります。今回の機能追加により、CloudFrontのディストリビューション側にて最小値(Min TTL)に加えて最大値(Max TTL)とデフォルト値(Default TTL)をBehavior単位で指定可能となり、オリジン側で個別に設定するよりも容易にキャッシュ保持期間を指定することができるようになりました。またオリジンで指定がない(できない)場合には、Default TTLを反映させることが可能になります。更には、3つの値(Min, Max, Default)をすべて同一にすることで、オリジン側のCache-Control Headerを完全に上書きさせることもできるのだそうです。(詳細は該当ドキュメントをご覧下さい)ご利用の際にかなり使い勝手が良くなることが期待できるでしょう。

(4) Auto Scaling グループにロードバランサーをアタッチやデタッチする [11 JUN 2015]
 Auto Scalingでのスケールアウト機能を享受しようとするとELB(ロードバランサー)を設定し使用することが多いのですが、これは事前に該当のAuto Scaling Groupにて既存のELBを指定して設定を行う手順が必要でした。もし新たなELBを使用したい場合には、新規にグループを作成する作業が必要となります。今回の機能追加ではグループに対してELBインスタンスをアタッチ/デタッチ(追加/削除)できるようになったお蔭でAuto Scalingグループ内のインスタンス群にリクエスト送信を止めたり、再開したりすることが簡単にできるようになります。例えば新バージョンのアプリケーション配備のタイミングなど複数グループを用意してグループごとに行う状況が必要な場合などで、単一のグループでも同様な所作が可能になると理解できます。場面によっては非常に有用な機能となるでしょう。

(5) 新しいM4インスタンスの登場 [11 JUN 2015]
 EC2のサービスを利用する際に必要なコンピューティング・リソースのキャパシティに合わせたマシンを選ぶことができますがこれを「インスタンスタイプ」と呼びます。このインスタンスタイプにはプリフィックスで用途となるファミリー(カテゴリ)が示され、そのファミリーの中でのモデル(インスタンスサイズ)がサフィックスとして続きます。例えば、汎用目的のファミリーの中でもっとも小さな(Tiny)カテゴリの前世代(T1)で一番小さいモデル(micro)の指定であると"t1.micro"がインスタンスタイプです。またこのファミリーも順次刷新を図っており、(T1)の後継バージョンである(T2)も既に登場しており"t2.micro"が現行バージョンとなります。数字が大きい程、各ファミリーの中で新しいバージョンになります。また汎用用途としてはTシリーズ以外にもMシリーズがあります。また他の用途としてメモリやストレージが充実したものなど複数のファミリーが用意されています。(インスタンスタイプのマトリックスは「Amazon EC2 インスタンス 」のページをご参照下さい)今回登場したのは、汎用用途での上位カテゴリMシリーズの新しい世代M4です。最上位機種のインスタンスタイプとして m4.10xlarge までもが用意されました。現行のMシリーズであるM3と比較してさらなるスペックの向上が期待できるのでしょう。また(副次的に)M4登場により、(ラインアップ上で近くに位置づけされる)既存M3及びC4インスタンスタイプが値下げされます。(Cシリーズは「コンピューティング最適化」ファミリーです)これまたご利用中の方々には朗報となりましょう。

(6) CloudFormationでの使用可能なリソース追加 [11 JUN 2015]
 AWS CloudFormationは、テンプレートを用いてAWSリソースをスタックとして再構成できる機能です。一度、設計図としてのテンプレートを記述すれば、CloudFormationがその設計図を基にスタックとして実際のリソース(EC2, S3, etc...)再構成することで、簡単に構成を復活させることができるという便利な機能です。但し、CloudFormationが扱えるリソースはAWSの全てではありません。(詳細はCloudFormationのドキュメントをご参照下さい)今回のアップデートでは、扱えるリソースの中で幾つかの項目が追加されたことを意味します。例えば、Amazon S3のライフサイクル機能での項目が追加、AWS IAM(Identity and Access Management)のログインプロファイルを扱える、Amazon RDS(Relational Database Service)のオプショングループが扱える、Amazon ElastiCacheでRedisクラスタの読み取り専用レプリカの使用、などがテンプレートで指定可能になりました。今後もCloudFormationでのサポートされるリソースが増えることで、様々な操作が一度テンプレートに記述するだけで再構成が可能になることが期待されます。

(7) Kinesis 新しいライブラリの追加 [05 JUN 2015]
 Amazon Kinesisはリアルタイム・ストリーミング・データを扱える新サービスです。多様なデータソースから大量のデータを受け取る必要がある場合に適しているサービスとして設計されており、ビッグデータをモニタリングするなどの目的で利用することが考えられます。Kinesisではストリーミング・データを受け取り、そのデータを自作プログラムで処理することが可能になります。今回アップデートが行われたのは、受け取るデータ(ペイロード)の最大レコードサイズ50KBの20倍(1MB)まで格納できるようになりました。これにより今まで分割格納していたデータを分割せずに格納することが適いましょう。またKinesisの操作におけるPUTオペレーション(ストリームにデータを入力する操作)に対する課金が半額になりました。そしてアップデートの目玉となるのがAmazon Kinesisを利用するための新ライブラリであるKinesis Producer Library (KPL)の発表です。データを受け取り処理するため既に提供されているクライアント・ライブラリであるAmazon Kinesis ClientLibrary(KCL)とは別に、新たにストリーミング・データを生成するために利用できるライブラリがKPLとなる模様です。KPLを利用することでWebサイト(クリックストリーム・データ)やモバイルアプリなどをデータソースとすることが可能で該当データをKCLで処理するという展開が期待できます。KPLにより大量のデータを送出するリアルタイム・ストリーミング可能なデータソースとなる裾野を広げることでKinesisの適用範囲が増大するのかと想像されます。

(8) RDS: 新しいリザーブドインスタンス購入オプション [15 JUN 2015]
 Amazon RDS(Relational Database Service)でリザーブドインスタンスの購入がシンプルになりました。リザーブドインスタンスはいわゆる、予約です。1年もしくは3年の期間を指定して予約を行うことで、ご利用期間中のトータルで通常(オンデマンド)よりも料金がお安くなるという購入方法です。このリザーブドインスタンスは、EC2やRDSのサービスでご利用になれます。ですが今まではRDSでのリザーブドインスタンス購入方法はかなり煩雑でした。以前はRDSインスタンスの起動頻度により、軽度、中度、重度というカテゴリの購入オプション指定があるため悩みどころだったと思いますが、今回の改訂により軽度、中度が廃止され、重度のみになりました。つまりインスタンスの起動の如何に関わらず課金されます。悩み所が一つ減ったということです。今後はリザーブドインスタンス購入で指定できるオプションは支払方法であり、すべて前払い、一部前払い、前払いなし、の3つの中から選ぶことができます。結果としてRDSもEC2と同じリザーブドインスタンス購入オプションとなることで共通化されて分かり易くなったと思います。

 6月上旬の主なニュースだけでこれだけ多くの改訂が行われています。
 また最近のニュースで朗報としてEBSボリュームの高速化と最大サイズの増量(16TB)やAmazon EFS(Elastic File System)サービスの発表によるファイル共有サービス(NFSv4)の登場が挙げられることでしょう。時々刻々とエンハンスメントが施されていることで着々とAWSの利便性向上が図られているのが理解できます。また6月2日、3日には日本で最大のAWSイベントである「AWS Summit Tokyo 2015」が開催され昨年にも増して沢山の方々が来場され多くのセッションやブースで様々な新しい発表がありました。小職も昨年に引き続いてセルフペースラボのお手伝いさせて頂きましたが、スーツとジーパンが入り混じった会場には、様々な思惑とご興味をお持ちの方々がいらっしゃるのだと改めて実感した次第です。

 ところで冒頭に紹介しましたフリートウッド・マックの十三枚目となるスタジオアルバムの「噂」"Rumours"ですが、このアルバム制作現場は修羅場だったらしいのです。メンバー五人のうちジョン・マクヴィーとクリスティン・マクヴィーの夫婦は離婚し、恋人だったリンジー・バッキンガムとスティーヴィー・ニックスも破局を迎えます。そしてミック・フリートウッドも(メンバーではないですが)妻のジェニーと離婚したそうです。人生の節目となるそれぞれの苦境が血肉となり骨となって、この「噂」"Rumours"というアメリカンロックの名盤を産み出したのではないのかと疑ってしまいます。

 特にフリートウッド・マック加入前からリンジー・バッキンガムとスティーヴィー・ニックスは恋人でした。唯一リリースされた彼らの「バッキンガム・ニックス」"Buckingham Nicks"のアルバム・ジャケットで二人が寄り添う姿を見て戴ければそれは一目瞭然でしょう。スティーヴィーとリンジーは高校を卒業しバンド・メンバーと都会(ロサンゼルス)に出ます。ですがレコード会社に拒絶されたメンバーが去って二人だけがモーテルに宿を取り生活を始めます。裕福な家庭に育ったスティーヴィーが甲斐甲斐しくも薄給でウェイトレスや家政婦をしながら生活費を稼ぎ二人寄り添い合いますが、やがて病に臥せったリンジーを看病しながら帰郷して二人で音楽活動を続けてやっと念願のレコードをリリースするに至ります。しかしそうした苦労も報われず"Buckingham Nicks"は鳴かず飛ばずの有様でレコード会社との契約も破棄される寸前だったのです。もしも二人がフリートウッド・マックに偶然に誘われていなければ有名になることはなく、二人は仲良く恋人同士でい続けたのかもしれません。ミュージシャンとしての成功と名声を手にしたために、二人は別離と悲しみという辛酸を味わう羽目になったのかもしれません。その後のスティーヴィー・ニックスはロックアイコンそして歌姫へと羽化し妖精となり、蝶の様に恋愛の変遷を経ながら、そして薬物中毒に苦しみます。

 手に入れた物の大きさ(願望)に比例して、失ってしまう物が大きく(大切な何かに)ならざるを得ないのかもしれません。これには何某かの物理法則があるのだろうと勘繰ります。そしていつの日かこの現象に名前を付けたいと思っています。

 次回もお楽しみに。

 


 

 [IT研修]注目キーワード   Python  UiPath(RPA)  最新技術動向  OpenStack  システムトラブルシュート