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第63回 心の指紋 2016年12月

好きな映画の一つに挙げることができるのが「心の指紋」"THE SUNCHASER" です。

この映画との出会いは偶然でロードショー公開当時に銀ブラしていて「シネスイッチ銀座」で上映していたのをたまたま観たのです。
映画鑑賞後に余程感銘を受けたのでしょうか珍しく映画館でパンフレットを買ったのを覚えています。
アスファルトの歩道から立ち上る熱気と強い日差しの照り返しに汗だくになりながら「銀ブラ」していたのは、1997年の暑い夏のことでした。

 

『心の指紋』:

映画「心の指紋」"THE SUNCHASER" は「マイケル・チミノ」(Michael Cimino) 監督の手による1996年製作、翌1997年に公開された「ロードムービー」"Road Movie" です。

「ジョン・セダ」(Jon Seda) 演じる ブランドン・ブルー・モンロー (Brandon 'Blue' Monroe) は彼を虐待した養父を殺害した罪で有罪判決を受けている十六歳の少年という役柄です。しかもブルーはナヴァホ族出身インディアンの生まれで荒んだ家庭で育ち前科があるという十字架を背負い込んで、その上更に肝臓癌という病魔に冒され余命幾許もないという絶望的な状況に晒されているのです。どこまでもツキの無い状況で遣る瀬無い(やるせない)という心境でしょう。方やオンコロジー医師マイケル・レイノルズ (Dr. Michael Reynolds, oncologist) には「ウディ・ハレルソン」(Woody Harrelson) が競演として配役されています。マイケルは富裕層出身で将来を嘱望されるエリート医師ですが何の因果が少年の診療する羽目に陥ります。マイケルがブルーを末期の癌と診断したところから物語の歯車が回り始めるのです。

 

『心の壁』:

先般「ラスベガス」"Las Vegas" から帰ってきたばかりの同僚から声を掛けられました。

「クラウドでは "DMZ" って言わないんですね?」

ベガス帰りの彼は "AWS" に感化され始めていたのです。

彼の発言に出現した略語である "DMZ" つまり "De-Militarized Zone" は「非武装地帯」を意味する単語でインターネットなどの外部ネットワークと社内ネットワークの中間に設置されるファイヤウォールなどの防護壁で区切られた緩衝地帯のことを指すコンピュータネットワークの用語です。

確かにAWSではこの "DMZ" という用語は出てきた記憶がありません(但し、一部のクラウドコンピューティングのサービスでは "DMZ" 相当という用語をサービス機能の説明に使う様子ではあります)。

彼の声掛けに応じるために何か返答しなければと考え始めた矢先にこのような事を口走っていました。

「クラウドだからさ。」

気が付くと走馬灯のようにインターネットが無かった時代からクラウド全盛期へと上り詰める現在までの変遷を頭の中で巡っていました。

元々は閉域網として構成されていた組織ネットワークが、インターネットが登場したことで公となる外界へと接続可能となった際に自らの殻を守るために形成した防御手段の一つが "DMZ" だったのであろうと考えました。

移民で構成される米国では、お店に入る際にはどこでも必ず「ハロー」と声に出して挨拶をするのが作法です。「私は怪しい者では御座いません」という意味です。何故なら見知らぬ輩が入ってきて何か騒動を起こすかもしれないからです。たぶん西部開拓時代からの仕来り(しきたり)なのであろうと勝手に憶測しています。

憶測の素であるのは、西部劇などに登場するガンマン達が集うようなお酒を出すカウンターがあるバーの「ウエスタン・サルーン」 "western saloon" です。あの馬の鞍を抱えたまま通り抜けることができる「スイングドア」"swing door" を押し入って店内で銃を携えた無法者が騒動起こすと生死に係わるような巻き添えを食うのは必死です。ですからお店に入る時には、怪しいものではないということ此方から示すためにも挨拶を欠かすことができないのでしょう。或いは、ウエスタン・サルーンの一部のお店では「ガンマン」"gunfighter" が腰にぶら提げている銃を預かったりする所もあったのだろうと思います。西部劇での知識からの拙い憶測なのですが、これは非武装地帯の一つの原型なのだと考えます。

「外から内へ」と入る際には何某かの緩衝地帯が必要となったと考えるのが自然です。

昔、日本の田舎では家には鍵など掛けていませんでしたが、それは盗まれるような「物」など「家」には無かったというのもありましょう。何よりも地域の皆が顔見知りだったので悪さをすればすぐに見つかってしまうのですから、鍵を掛けること自体が不要だったのです。
ですが、見知らぬ人が無数に周囲にいて自由に行き来できるような環境の都会ではそうは行かないのでしょうし、言わずもがな鍵を掛ける必要性が出てきました。更に家には、外からの侵入者を判別するために、外から呼び出すためのドアチャイム、会話が出来るインターフォン、顔が見えるテレビフォンと発展していてこれらが外界からの障壁となっています。マンションタイプでは直接自室のドアに接触する前の緩衝地帯としてエントランスにゲートが配置されており、そこからインターフォンで呼び出しロックが解除されないと入れないのが普通となっています。これは正に非武装地帯です。

すべては「公から私へ」の方向であることにここで注目できます。

従来はベンダー主導で個別に同種のプロトコルを搭載していたコンピュータ同士だけが接続されていたコンピュータネットワーク (LAN, "Local Area Network") は顔見知りのコンピュータだけが接続された「村」であり「孤島」であったのですが、その LAN で "TCP/IP" (Transmission Control Protocol / Internet Protocol) がスタンダードとなったことで一変したのです。

変化の胎動が起きた要因は同時期に普及と啓蒙が進んでいた「インターネット」"internet" の存在であり "TCP/IP" はインターネットの基本プロトコルであったからです。つまり、「孤島」であった LAN は "the Internet" に接続できるようになったのです。これはそれぞれの「孤島」を繋ぐように海上で行き来できるようになったことを意味しています。

やがて「インターネットサービスプロバイダ」"Internet Service Provider" が無数に登場して往来が活発になり現在に至る訳ですが、これは見知らぬ無頼の者が自分達の住んでいる「島」にもやってくることになります。この入島する際での防御壁が "DMZ" つまり「非武装地帯」"De-Militarized Zone" として必要になったのです。

"DMZ" が必要とするのは「インターネット」"the Internet" から「イントラネット」"intranet" つまり「公から私」"public network to private network" の方向だけなのです。

これら出生の経緯が先の同僚の質問に対する回答の裏付けになるものと考えます。

生来「クラウドコンピューティング」"cloud computing" は「インターネット」"the Internet" から産まれたものであるが故に、「クラウド」は本来故に「公」の性質を持ちインターネット介してどこからでもアクセスできるという利点を与えてくれるのです。

ですがこの特性が反作用として働くことになりました。
当初「クラウドコンピューティング」"cloud computing" が有する「公」の気質が懸念となる場合があったように感じるのです。クラウドコンピューティングの導入を決断する方々に「心の壁」があったのだろうと勘ぐります。

心の中に聳え立つ(そびえたつ)「ベルリンの壁」"Berliner Mauer" による既成概念を払拭できない意志決定者、経営責任者が「クラウドコンピューティング」"cloud computing" の採用に躊躇(ちゅうちょ)し見知らぬ素振りをしてきたのであろうと思われます。

 

『Amazon Virtual Private Cloud』:

エンタプライズユーザーが抱える前述の懸念を払拭するべく AWS へと採用に拍車を掛ける作戦が "Amazon VPC"(Virtual Private Cloud)という概念の提案でした。Amazon VPC は2009年にお目見えしたサービスです。企業ユーザをターゲットにして AWS 上に仮想プライベート空間を提供するというコンセプトとして登場したのです。

これはインターネットというパブリックな空間に論理的に隔離された仮想的なプライベート空間を提供することでプライベートクラウドの延長として利用可能であるというものです。つまり、自社サーバールームにあるマシンリソースが足らない時に一時的に付け足したいという用途にも利用できる様になるのです。

Amazon VPC の意図は言うまでもなく前述の懸念であった「安全な空間」として機能することでインターネットから隔離できるという「利用者の安心」を醸し出すのが主たる目的です。これが先に彼から為された質問の「素」であった訳です。Amazon VPC では "DMZ" という用語は出てきませんが、プライベートサブネットで区切ることが出来て同様の機能を果たします。エンタープライズ向けサービスとして、正に先ほどの懸念を払拭するに足る機能です。

また Amazon VPC の登場によって既存資産をどうしても捨てきれない今まで二の足を踏んでいた方々もより現実的なハイブリッド構成を容易に構築することが可能になって、徐々に移行が可能になった効果も産まれました。これは Amazon VPC へのオンプレミスからの接続をインターネット VPN に加えて "AWS Direct Connect" という専用線接続を提供する補完サービスの貢献が大きいとも考えられます。

Amazon VPC は2013年からは標準提供となってすべてのサービスでの標準に利用可能となりました。全ての機能を安全に使えるのです。先の「心の壁」を撤去するために VPC が AWS からの急先鋒となったのはご理解頂けると思います。ベルリンの壁が崩壊するかの如く普及が促進されたのです。

 

『AWS re:Invent 2016』:

先月末、例年通り米国ラスベガスにおいて Amazon Web Services (AWS) 主催の「AWS re:Invent 2016」が催されました。世界中から三万人を超える方が何にも無い砂漠のベガスに集結する様はまるで宗教的な民族大移動の様相を呈しています。極東の島国である日本からも今年も500人を越える方達が渡米して参加された模様で増加の一途を辿っています。今年も弊部からマネージャーとエンジニアの二名が参加することが叶いました(筆者では御座いません)。やはり現地に行って熱気を感じて来ることは重要であり、そのスケールの迫力に魅了されたご様子でした。
そのベガス行きの切符を手に握りしめ熱気を肌で感じてきた参加者のうちの一人が前述の質問をしてきた彼だったのです。

今年の「AWS re:Invent 2016」では例年と同じく大量の新サービスがリリース予定であることが公表されました(詳細はAWSポータルサイトでご覧頂けます)。
発表された新サービスの中には "AWS Step Functions" のような興味をそそられるものがありました。それに加えて "AWS Shield" の発表は前述の懸念どころかその先に顕在化する問題(DDoS からのマネージド型保護サービス)までをも払拭する様なサービスとして登場しています。
新サービスについてもう一つ、「スーツケース」が送られてきてデータを詰め込んで送る "AWS Snowball"(スノーボール)がトラックにトランスフォームしました。昨年(2015年)発表された "AWS Snowball" は AWS に大量のデータをセキュア移行するためのデータ転送のためのストレージ・アプライアンスで灰色のスーツケースにデータを詰め込んで AWSのデータセンターに送るというものです。これが今年はトランスフォームして "AWS Snowmobile"(スノーモービル)という大型トレーラー(牽引自動車)がステージに登場した様子です。トレーラートラックが物体としてステージの空間を占有する様には圧巻されたと想像できます。小型の移動データセンターがそのままお宅に伺いますという趣向なのでしょう。

以前に「サン・マイクロシステムズ」(Sun Microsystems) が提供していたコンテナ型データセンター (Sun Modular Datacenter, a.k.a. Project Blackbox) を想起させます。このモジュール式データセンターについて AWS では(後述するハミルトン先生が)以前から模索していた様子です。それが今回の "AWS Snowmobile" として露出したのかとも思われます。来年も移動可能なコンテナ式データセンターの周辺で何か発表が続くのかもしれません。

今まで足りない部分を補う形でサービスを拡充してきたラインアップが、今回は確実に次の段階へと AWS がステージを駆け上がろうとしているのが見て取れます。今まで無かった機能を提供するのです。

ベガスでは先ほどの彼を含めて多くの意思決定者が参加することで実際に「AWS re:Invent 2016」に足を踏み入れることで参加者の熱気と会場の大きさと大量の新規サービスの発表と大量の成功事例を見知ることにより、先の懸念が徐々に払拭されている現在を知ることができましょう。寧ろ、先端を行く業界トップ達の事例が発表されることで今現在乗り換えなければ手持ちが陳腐化して業界競合相手に取り残されてしまうというリスクが懸念として発生し始めていることに脅威を感じているのでしょう。

 

『ハミルトン先生』:

昨今のニュースで「アマゾン」という四文字を見かけるのが増えてきています。
直近では、Amazon 本体のビジネスであるコンシューマサービスが仮想空間から現実世界に飛び出した「Amazon Go」という実験が発表されました。「Amazon Go」はアマゾンの食料品店であり、レジの要らないコンビニを模索するのだそうです。
また二本目の柱であるロジスティクスへと連動する新兵器が既に日本(の倉庫)に上陸しています。アマゾンの寒い倉庫でロボットが商品の棚から棚へと自動で走り回って仕分け発送の手間を行ってくれるという試みです。

このように何かと "Amazon" の話題が毎日ニュースを席巻しているのですが、その三本柱の一つ "AWS" の話題も先の「AWS Re:Invent 2016」 が各所で取り上げられています。既にコンピュータ業界知識ではなく一般知識として認知されつつあるのでありましょうが、各所で「AWS Re:Invent 2016」が報道される中で初めて「ハミルトン先生」の存在を知りました。

「ハミルトン先生」についですが、AWS には「ハミルトン先生(ジェイムス・ハミルトン)」(James Hamilton) という方がいらっしゃる様子なのです。この方は特別で「AWSの中のこと(物理的構成)」を話しても良いらしいのだそうです。普通は「AWSの中の人(在籍されている方)」は内側の事は外部に話してはいけない戒律がある様子なのですが、彼みたいに超越した存在である「ハミルトン先生」はプログレッシブ・ロックの大御所ギタリストを髣髴(ほうふつ)とさせる風貌であり別格扱いです。先生の様なタレントが AWS には何人かいらっしゃるようでしてスターである彼らは色々話してもオーケーみたいです。因みに「ハミルトン先生」の肩書きは、「副社長」兼「卓越したエンジニア」"Vice President / Distinguished Engineer" です。差し詰め「違いの分かる男」といったステータスなのでしょう。

その「ハミルトン先生」が今年もまた(既に恒例となりつつある様子でして)「ラスベガス」"Las Vegas" の壇上に登場されて色々なお話をされたことが各所で大きく取り上げられています。

「ハミルトン先生」がお話された内容を取り上げたそれらの記事を参照しますと、AWS のリージョンを接続するために太平洋を横断する海底ケーブル敷設プロジェクトといった地球規模での壮大なスケールな話を切掛けに、自社で設計し自社で開発することを念頭にしたカスタム ASIC "application specific integrated circuit" の設計、制作とカスタムルーターを自作して使用している事の理由。更にそれらを用いて構築されている AZ(アベイラビリティゾーン)は複数のデータセンターで構成されていて光ファイバーで接続されているなどといった中の(物理的実装の)話をしているのです。

AWSのデータセンターのキャパシティが外野の予想を超えて増殖している様はユーザーニーズに裏打ちされている事象であるのは間違いないのでありましょうが、大企業が使っているコンピューティング・リソースを毎日追加しているというのは非現実的な程の成長スピードであり驚異的なスケールで成長を続けている現状を吐露しています。
今年(2016年)になってから「韓国(ソウル)」、「インド(ムンバイ)」、「米国東部(オハイオ)」、「カナダ(トロント)」、そしてつい一昨昨日(2016/12/13)に予てからアナウンスのあった待望の「英国(ロンドン)」が開設されました。今年だけで既に五つのリージョンが追加されているのですが、来年には更に(来年の話をすると鬼が笑うといいますが)フランスなど四つのリージョン追加する予定であるのをお話されています。

その増えるリージョンは複数のAZで構成されており、AZは複数のデータセンターで構成されていて、一つのデータセンターで五万台から八万台のサーバーをホストしているのだそうです。ハミルトン先生曰く「この程度に留めている」のだそうですが、電力供給の経験値から得られたコスト効率を考慮したものだそうです。加えて電力もクリーンエネルギーに転換すべく再生利用エネルギーを(太陽光発電と風力発電を主体にして)積極的に取り入れており、もうすぐ世界中の各地で無数に配置される施設で使用する総電力の 50% をクリーンエネルギー化するのが達成出来ると公言されていました。最終目標は全てを再生エネルギーというもので今後も 100% へ向けて取り組むとの事です。地球温暖化が脅威となっている現在の地球環境にも配慮しているのです。
堅牢さを担保するマッシブさを裏付ける細やかな配慮を欠かさないことも垣間見られます。

ところでこの「ハミルトン先生」の風貌が気になって少し調べましたら、どうやら飛行機がお嫌いらしくどうやら移動には車を使うのだそうです。どうやら出張があったとしても地続きの移動以外は難しそうですね。地球規模での設計に関与する「ハミルトン先生」ですが割りと踏ん切りが悪い御様子です。顔写真を拝見して直感で最初に思った通り、少し変わり者なのだろうなと勝手に決め付けてしまいました。

ハミルトン先生はご自身のブログサイト "Perspectives"(「展望」というタイトル) で顔写真と共に持論を展開されています。ご興味があれば先生のブログも一度覗いてみるのも一興かもしれません。

 

『心の指紋』:

「心の壁」が行動に大きく影響を及ぼすのは言うまでもないことですが、それについて思考の散策する切欠になったのが「心の指紋」"THE SUNCHASER" です。「太陽を追う者」"THE SUNCHASER" という原題に「心の指紋」という邦題を誰が付けたのかは存じ上げませんが良いセンスだと感心しきりです。

肝心の映画もロードムービーが故に登場する役者さんは少ないのですが粒揃いです。

アマチュア・ボクサーから転身し俳優となり「12モンキーズ」"12 Monkeys" にも出演を果たした「ジョン・セダ」(Jon Seda) が物語の軸となるナヴァホ族の少年「ブルー・モンロー」を務めます。
「ナチュラル・ボーン・キラーズ」"Natural Born Killers" の「ウディ・ハレルソン」(Woody Harrelson) が行きがかり上で少年と行動を共にすることになる「マイケル・レイノルズ医師」となります。
「卒業」"The Graduate" の「アン・バンクロフト」(Anne Bancroft) も彼らがヒッチハイクの際にシャーマン的な予言をする役どころの「レナータ・バウムバウアー博士」"Dr. Renata Baumbauer" 役で登場します。

物語の顛末は、ブルーは死に至る病である末期癌を癒すため、護送中に脱走してナヴァホ族の伝承にある居留地の奥地にあるらしい幻の山の麓(ふもと)にあるとされている「伝説の湖」で泳げばあらゆる病が治るという言い伝えを信じてその湖を目指すのです。ブルーの脱走に巻き込まれたマイケルですがブルーをそのまま勝手に放っておくことが出来ずにその伝承を信じていないままに一緒に逃避行を続ける羽目に陥ります。このマイケルの不可解な行動には理由があったのです。

この後のお話については機会があれば是非とも映画をご覧になってください。
きっと、美しい晴れやかなエンディングを迎えることができることでしょう。

「心の指紋」"THE SUNCHASER" は作品自体の知名度が低いかもしれませんが「マイケル・チミノ」(Michael Cimino) 監督作品と言えば「ディア・ハンター」"The Deer Hunter" が真っ先に思い出されるのでありましょう。「アメリカン・ニューシネマ」"New Hollywood" というムーブメント末期に登場した名作です。もしくは、興行的に大失敗を招いた「天国の門」"Heaven's Gate" を思い出されるかもしれません。映画製作会社が潰れてしまう程の赤字を出したのは有名な話になりました。彼も変わり者だったのだろうと想像されます。

筆者がマイケル・チミノ監督作品で思い出すのは、「サンダーボルト」"Thunderbolt and Lightfoot" です。マイケル・チミノの初監督作品でありサンダーボルトこと「クリント・イーストウッド」(Clint Eastwood) とライトフットこと 「ジェフ・ブリッジス」(Jeff Bridges) が競演した、これまたロードムービーです。「サンダーボルト」は何度もテレビで放送されるのでその度毎に観ていたのを覚えています。

そのマイケル・チミノは今年(2016年7月2日)に天国の門へと旅立ちました。道中お気をつけて。

 

『心の銃』:

「クラウド」の話に限らず色々な境目に「心の壁」をお持ちの方は無数におられるのだと思います。斯く言う筆者も色々な「心の壁」を知らず知らずに築いてしまっていることを少なからず自覚しています。

今回のお話はただの一例で氷山の一角にしか過ぎませんが、培った経験や知識を刷新するため既成概念を投げ捨てて全てを何かに振り切るというのはある意味危険を感じることは理解出来ます。慣れ親しんだ環境を離れるのには相当の勇気がいることだからです。それに攻め込むよりも守る方が何倍も困難であることも理解しています。ですが、それが新天地を目指すべき時の障壁となる可能性もあるのです。
況してや、従来のやり方が利害と絡んで既得権益を有しているのであれば、壁を守ろうとする無数の魑魅魍魎(ちみもうりょう)が暗躍しそれを突破するのは並大抵の抵抗ではないのでしょう。その状況下では無理に押し通り突破する事は叶わないかもしれません。ですが諦めてはいけません。

"DMZ" から始まった思考プロセスを紐解く際に「ガンマン」や「非武装地帯」など物騒な単語も登場したのですが、そこで想い出したのは日本のパンク・バンド「アナーキー」"ANARCHY" の楽曲で「心の銃」という楽曲があったことです。
「心の銃」は「アナーキー(亞無亞危異)」の三枚目のアルバム「亜無亜危異都市(アナーキーシティ)」"Anarchy City" に収録されています。

「心の銃」でアナーキーが放つ歌詞には「心の武器がある限り、あいつらに負けない」という行(くだり)があるのです。
その歌声は蓮っ葉で荒々しい叫びでありながらも心に刺さります。
初期衝動をそのまま飾らずにストレートにぶつけてくるからなのでしょう。

筆者にも「心の銃」が必要なのだと思います。
戦い生き延びていくために。
戦うことを諦めないために。
分厚い壁を打ち破るために。
折れても立ち上がるために。

次回もお楽しみに。

 


 

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