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世の中では、「関西人はケチ」という評判があるようですが、みなさんはどのように思われますか? 実は、筆者も関西出身なのですが、「まだ使えるモノを捨てるのは気がひける」という意味では、ケチの気質があるのかも知れません。たとえば、自宅でFedora19のデスクトップ環境として使っているThinkPad X61は、7年近く前に購入したものです。X61では有名な冷却ファンの不具合なども起きているのですが、それだけの理由で買い換えるのがもったいなくて、いまだに騙し騙し使い続けています。
冷却ファンの問題というのは、ファンの回転軸が物理的に不安定になり、ファンが高速回転すると異常振動が発生するというものです。これは、デバイスドライバーの設定を変更して、ファンの回転数をマニュアル調整するようにして対処しています。具体的には、設定ファイル「/etc/modprobe.d/thinkpad_acpi.conf」に「options thinkpad_acpi fan_control=1」を指定します。これにより、次のコマンドでファンの回転数を調整できるようになります。
# cat /proc/acpi/ibm/fan ← 現在の設定を表示 # echo "level N" > /proc/acpi/ibm/fan ← 回転数レベルをNに設定
もちろん、手動で回転数を下げる場合は、プロセッサーの温度に注意する必要があります。これは、lm_sensorsパッケージに含まれるsensorsコマンドでチェックします。
# sensors | grep "Physical id" Physical id 0: +49.0°C (high = +86.0°C, crit = +100.0°C)
このコマンドを利用したお手製のプログラムによって、デスクトップ上にプロセッサーの温度を表示して、温度が上がり過ぎると警告を表示するようにしています。
このような問題回避の工夫をしながら使っていると、それだけで愛着がわいてくるものですが、残念なことに、つい最近、イーサネットコントローラーの故障が起きてしまいました。リンクアップのランプは点灯しているのに、NICが有効化されないという不思議な状態になったのですが、いろいろチェックしたところ、カーネルメッセージに次のようなエラーメッセージが記録されてる事に気が付きました。
[ 432.212095] e1000e 0000:00:19.0 enp0s25: Hardware Error
「e1000e」は、Intel製のイーサネットコントローラー用のデバイスドライバーです。ドライバーからのメッセージによると、ハードウェアエラーが発生しているようです。さすがにこれは回避のしようがありませんので、今は、しかたなく、(それでもしつこく?)有線接続から無線接続に切り替えて使っています。(「今どき、ノートPCを有線で使っていたの?」と思うかも知れませんが、固定の大型ディスプレイとHappy Hacking Keyboardを接続した据え置き環境ですので、筆者にとっては、デスクトップPCと同じ環境なのです。)
さて、ここで、先ほどのエラーメッセージにある「enp0s25」に注目してください。ようやく、今回のコラムの本題にたどり着きましたが、これは、Fedora19で採用されている新しいNICのネーミングルールに基づいた、NICのデバイス名です。次のように、物理的なデバイスの接続情報に基づいて、デバイス名が割り当てられています。
これまでは、NICのデバイス名と言えば、「eth0」が定番でしたが、NICの交換でMACアドレスが変わるとデバイス名が変化するなどの問題がありました。この新しいネーミングルールの場合は、物理的な接続情報に基づいて名前が付けられるので、NICを交換してもデバイス名が変わらないという特徴があり、「Predictable Network Interface Names(予測可能なネットワークインターフェース名)」と名付けられています。
この仕組みは、systemdが提供するもので、Fedora19と同じく、systemdを採用するRHEL7にも当てはまります。RHEL7を使用する際は、見慣れないNICのデバイス名がでてきても驚かないようにしてください。ネーミングルールの詳細は、筆者のBlogにまとめてありますので、そちらも参考にしてください(*1)。
今回は、少し趣向を変えて、筆者の自宅PCをネタにRHEL7の最新技術情報をお届けしました。Fedora19は、ちょうど、RHEL7のベースとなるディストリビューションですので、Fedora19の経験がいろいろと役に立ちます。最近のFedoraは、デスクトップ環境としての完成度も上がってきており、(Microsoft Officeを使えないことを除けば)、業務利用で困ることもまったくありません。
さて、本連載は、ここで一度、夏休みをいただいて、次回は8/25の週にお届けする予定です。それまでに、クラウドとオープンソースの新しいネタを仕込んでおきたいと思います。
(*1) 「RHEL7のNICのネーミングルール」
++ CTC教育サービスから一言 ++
このコラムでLinuxや周辺技術の技術概要や面白さが理解できたのではないかと思います。興味と面白さを仕事に変えるには、チューニングやトラブルシューティングの方法を実機を使用して多角的に学ぶことが有効であると考えます。CTC教育サービスでは、Linuxに関する実践力を鍛えられるコースを多数提供しています。興味がある方は以下のページもご覧ください。
CTC教育サービス Linuxのページ
http://www.school.ctc-g.co.jp/linux/
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