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第86回 アンラヴェル (藤江一博) 2019年4月

教えて
教えてよ
その仕組みを

僕の中に
誰がいるの

 
 
 

ガタンゴトン
ガタンゴトン

ガタンゴトン
ガタンゴトン

 
 
 

『銀河鉄道の夜』:

心の中から湧き上がる内なる声の背景で隠れながらも向こう側から微かに電車がゆっくり走るようにレールの継ぎ目を車輪が叩く音が聴こえてきます。

川面を流れていく根無し草のように自分の意志に関係なく車両に乗せられて当て所なく都会の街から郊外へ夕暮れ迫る時間帯を列車が走っていく情景描写が脳裏を過ります。

このような列車に揺られる情景では、幾つか想い出すことができましょう。

千尋に憑いて切符を持っていないカオナシが、千尋の回数券で乗せて貰った列車の座席に千尋とカオナシが二人並んで座って揺られている滑稽な画。

碇シンジが居場所を失い家出して携帯音楽プレイヤーを再生しながら自分の殻に閉じこもって終わりがない環状線の電車に揺られていく。

ジョバンニが銀河鉄道で石炭敷き詰めた様な漆黒の闇に無数の蛍烏賊(ホタルイカ)を光らせたような眩い天の川をカンパネルラと共に二人一緒に最後の別れを惜しむように短い旅を列車で遊覧していく。

機械の体を貰うために銀河超特急999号に乗り込み旅する鉄郎とそれに寄り添う謎の美女メーテルもいました。

懺悔の念、不安で落ち着ないまま、心許無し(うらもとなし)に、ただ時間だけが過ぎていく、そんな景色が想起されます。

 
 
 

『ヤーニー』:

"unravel" という聴き慣れない単語は、"un" + "ravel" で構成されています。
"un" は、ここでは「否定」ではなく動詞に着ける「強意」を表現しています。
"ravel" は、「ほどく、ほぐす、解く」の意味です。

つまり "unravel" (アンラヴェル、アンラベル)は「(もつれた)糸をほぐす」、「解きほぐす」、曳いては「解明する」という単語です。「仕組みを解明する」という意味を持ちます。

この "unravel" という単語の意味をそのまま体現している PS4 (PlayStation 4) のビデオゲームがありました。
「Unravel (アンラベル) ヤーニーバンドル」"Unravel Yarny Bundle" というアクションゲームのタイトルです。

「Unravel (アンラベル) 」は、お婆さんの赤色の毛糸の玉から生まれ落ちた「ヤーニー」"Yarny" が主人公です。
「ヤーニー」"Yarny" の体躯はお婆さんの毛糸で出来ていますので、前に進む度に自分の身体が解けてしまいます。途中で毛糸を補充しないと身体が無くなってしまいますので、前に進むことすら儘なりません。

ヤーニーはお婆さんに恩返しをするために、家族の失われた記憶を求めて冒険の旅に出かけます。ヤーニーが身体の糸を解きながら進んでいく様はとても滑稽に見えますが、悲壮感すら漂っています。まるで「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」を体現しているかのようです。

せっかちな筆者はこのゲームを見つけてすぐに試してみたくなったので、購入したまま積み上げて一年以上も箱を開けていなかった新品の PS4 Pro を取り出してプレイしてみたのです。ですが、久しぶりのゲームということもあって上手にヤーニーを操作出来ません。
それでも頑張るヤーニーに自分を投影してしまいからなのでしょうが、ひたむきなヤーニーを見て心が熱くなりました。

小さな毛糸の体躯であるヤーニーがお家の庭から外界へと旅立ち大きな木を登って飛び移る、水たまりを工夫して何とか向こう岸に渡るというのは彼にとっては容易ではないです。
冒険はヤーニーにとって決死の覚悟であったに相違ありませんが、牧歌的なヤーニーの容姿からはすべてはお婆さんへの恩返しだという純粋な想いだけが届いてくるのです。

筆者はヤーニーほどの勇気は持ち合わせていませんが、ヤーニーにインスパイヤされて「アンラヴェル」から「仕組みを知る」ということを少しだけ紐解いてみたいと考えました。

 
 
 

『本郷猛』:

まず「本郷猛」(仮面ライダー)の例を挙げて仕組みを知ることの大事さを考えてみたいと想います。

ナレーション(中江真司):
「仮面ライダー本郷猛は改造人間である。
 彼を改造したショッカーは世界制覇を企む悪の秘密結社である。
 仮面ライダーは人間の自由のためにショッカーと戦うのだ。」

巨大な悪の組織に乗り込んでたった独りで立ち向かっていく根拠となるのは、真っすぐな正義感から由来する純粋な勇気のみならず、本郷猛が自ら勝ち得た知力とショッカーによって与えられた改造人間としての体力に裏付けされています。

では、「本郷猛」(演じるのは、「藤岡弘、」)はショッカーと戦う力を改造人間になったことによってどのように発生させているのかという「仕組み」が知りたくなります。

ナレーション(中江真司):
「改造人間本郷猛はベルトの風車に風圧を受けると仮面ライダーに変身するのだ。」

改造人間である本郷猛は、「サイクロン号」に跨って高速走行で疾走することにより発生する風圧をベルトの前面ついている風車「ダイナモ・タイフーン」"dynamo typhoon" から取り入れた「風力」"wind power" を胸の「コンバーター・ラング」"converter rung" でエネルギーに変換してベルトの腰に装着している「エナジー・コンバーター」"energy converter" で蓄積しています。その蓄積したエネルギーを全身に送り出すことで莫大な力を得ているのが「仮面ライダー」の「仕組み」(設定)です。

この仕組みはドラマの本編(第三話)で本郷猛自身の台詞で確認できます。
「風圧によってダイナモが回り、エネルギーが蓄積し、そのエネルギーが改造された筋肉に通じる。」

この「仮面ライダー」の「仕組み」(設定)の背景には、原作者「石ノ森 章太郎」"Shotaro Ishinomori" の想いが反映されていることを考慮する必要がありそうです。

企画段階から二転三転したテレビ番組の草案は石ノ森章太郎がデザインと原作に参加することで結果「仮面ライダー」という不滅のシンボルへと結実しましたが、石ノ森章太郎の構想では、仮面ライダーは昆虫のバッタをモチーフにしています。
強靭な身体能力や必殺技の「ライダーキック」を生み出す強力なジャンプ力はバッタが持つ能力に由来しています。
昆虫であるバッタは、自然界からの使者であるという意味を併せ持っています。
自然を破壊するもの達に立ち向かう自然界からの正義の使者となります。
これら背景が「仕組み」(設定)に大きく反映されているのです。

自然からの贈り物「風」を仮面ライダーはバイクに跨ることで風力エネルギーとして得ることで原動力としています。ですから、バイクで疾走出来ない、或いは、別の方法でも風力を得ることが出来ない場所では変身も仮面ライダーの姿の維持もできないのです。

「仕組み」を知るためには、その背景となる時代の空気感や生み出した人々の熱い想いを汲み取ろうと想像することが対象を考察するにはとても大事なのだと知り得ました。
意匠とも連動するのでしょうが、創作には強い意欲が必要になります。
そこにはアイディアを創出した方々の意志と想いが宿っている筈です。

 
 
 

『UNIXへの招待』:

「仕組みを知る」ということに執着しているのは、本質を知りたいとい生来の性質から由来する手段の一つかもしれませんし、ほとんどの場合はそんなことは全く気にしないこともあるので気の所為かもしれません。

後輩で同僚である「ゆうくん」は、去年新卒入社した一年生ですが、彼に事ある毎に「仕組みを知るのが大事なんだよ。」と何度も語りかけているのが起因しているだと思い当たりました。

ゆうくんは、最近 Python を勉強しているので時間があるときに質問や相談を受けたりするのですが、Python で書かれたスクリプトがインタプリタを介して実行するという行為は「オペレーティング・システム」から見ればひとつの「プロセス」に過ぎません。ですから「プロセス」がどうやって管理されているのか知った方が良いとアドバイスしています。
それに、プログラムがファイルを操作したいと思ったらやはり「オペレーティング・システム」の助けを借りないと何も出来ません。やはり「オペレーティング・システム」を知る必要があると繰り返しアドバイスします。

電子部品が満載されている箱(コンピュータ)を基本ソフトウェアである「オペレーティング・システム」が司っているのですから、「オペレーティング・システム」がどのような「仕組み」になっているのかを大まかにでも知っておくのが、コンピュータを扱う上でとても大事ですよ、とお伝えしています。

そこでUNIX本のおススメとしようと思い立ったのですが、筆者がその昔に食い入って何度も読んだ本は出版がかなり古い本が多いのでもしかしたら入手困難かもしれませんし、それ以前に古い本に抵抗があるかもしれません。新しく出版された書籍の方が良いのかなとも少し思いました。もし、最新OSの本が読者にとって入り易いのであれば、手に取って読みやすそうな書籍で良いのだと思います。

最新のOS(LINUX)などでは細部だけでなく中核にも大きく変更が加えられているのは間違いないですからコマンドや管理方法、一部の構成などは進化を遂げて異なるのは承知しています(追従するためにも筆者も勉強しなければという強い想いだけは、あります)。

それでもUNIX という「仕組み」がすべての基本になっているのは、現在時点で何ら変わりありません。骨格となる基本構成や仕組みの部分では驚くほどに変わっていないのだと理解しています。

因みにですが、おススメした昔の書籍の一部を書き出してみますが、先陣を切るのはなんといっても「坂本文」さんが、当時「UNIXマガジン」で連載していた記事を纏めて出版された「たのしいUNIX―UNIXへの招待」、「続・たのしいUNIX―シェルへの招待」です。これらは現在手に入らないかもしれませんが、筆者を救済してくれた書籍でした。

雑誌「UNIXマガジン」はネットで情報収集できなかった当時(一九九〇年頃)唯一といって良い情報源でしたが、コンピュータ初心者で全く知識のない筆者にはほとんどの記事がちんぷんかんぷんでしたが、巻末に連載されていた「たのしいUNIX」だけは欠かさず読んでいました。
わかりやすく書いてある「たのしい」記事が、初心者の読者(筆者)には読みやすかったのです。それはUNIXの本質的な部分にまで言及していました。

「たのしいUNIX」読んでからなんどもなんども「UNIXマガジン」を読み返していましたが、難しい記事は全部飛ばして読んでいました。それでもなんども反芻しているうちにそれまでわからなかった記事の一部も何だかわかるような気がして嬉しくなったのを思い出しました。

「UNIXマガジン」の難しい記事と同じように読んでもさっぱり内容が分からないけれどひたすら読み返していた書籍に「UNIXカーネルの設計」(著者:MauriceJ. Bach 翻訳:坂本 文、村井 純)と「UNIX 4.3BSDの設計と実装」(Samuel J. Leffler, Michael J. Karels) がありました。
本体であるカーネルの仕組みが知りたくて、こんな難しい本に噛り付いていました。
他にも「UNIXプログラミング環境」(著者:Brian W.Kernighan, Rob Pike 翻訳:石田 晴久)や「Life with UNIX―UNIXを愛するすべての人に」(著者:ドン ライブ、サンディ レスラ 翻訳:福崎 俊博)もUNIXの背景を知りたくて読みました。

これらの書籍はもう見かけることも少なく手に取ることも叶わないのかもしれませんが、もし読んで頂いたならば本質である仕組みの根幹は変わっていないということを理解できると思います。もし、入手可能であればですが、「UNIX とは何か?」を理解するためにおススメできると思います。名前を挙げた古い書籍ではなくてもオライリー社が出版している LINUX関連の書籍を筆頭に UNIX/LINUX の本は無数にありますから、本質に言及していると思える『読みやすい本』を手に取ると良いと想います。

先ほどの体験談ですが、わからなくても諦めずに読み続けるということをしました。
根気がある訳ではなく飽きっぽい筆者が諦めなかったのは、単に情報源が少なかったという状況がそうさせてくれたのです。
知識の皆無な筆者は、読み始めた頃は何を書いているのかさっぱりわからなかったのですが、それでも何度も読んで自分で確かめることを進めるとUNIXってどんな仕組みで動いているのかが少しずつ分かってきて読める部分が少しずつ増えていきました。
実際に前述列記した難解な書籍を読むのに何年もの時間が掛かりました。自力で解読したのではなく師匠(井澤信越)に教えを請うた結果なのですが、読み終えることが出来ました。
そのことが少なからず後の糧(かて)になったのだと現在は振り返ることが出来ます。
すぐにわからなくても諦めるのではなくて、読み続けるのが大事なような気がします。
たぶん、そんな気がするだけです。

それにコンピュータだけに限らず何事に於いても物事の仕組みを知ることが、本質へと近づくために必要だと考えています。

 
 
 

『東京喰種トーキョーグール』:

冒頭のフレーズは「カネキ」(主人公:金木 研)の気持ちをそのまま吐露したかのような「unravel」(アンラヴェル)という楽曲からのものです。「TK from 凛として時雨」の手によるテレビアニメ「東京喰種トーキョーグール」"Tokyo Ghoul" のオープニングテーマで物語と完全にリンクします。

「凛として時雨」"Ling tosite sigure" という名前のバンドの中核である「TK」(北嶋 徹)がソロ活動する際の名義が、「TK from 凛として時雨」"TK from Ling tosite sigure" です。

石田スイによる漫画が「東京喰種トーキョーグール」でこのアニメ化に伴いテーマ曲などを原作者である石田スイ自らが好むアーティストに依頼して制作したという気合の入った楽曲の一つです。

この「TK from 凛として時雨」を代表に 「People In The Box」、「österreich」、「amazarashi」、「女王蜂」といった新進気鋭のアーティスト達が「東京喰種トーキョーグール」アニメシリーズでのテーマ曲を奏でており、これらを石田スイ完全監修による『東京喰種トーキョーグール』シリーズの音楽集大成、そしてテーマ曲以外にも依頼する切っ掛けとなった各々のアーティストの楽曲も含まれた豪華コンピレーション・アルバム『東京喰種トーキョーグール AUTHENTIC SOUND CHRONICLE Compiled by Sui Ishida』まで先月(2019年3月)に発売されています。
このコンピ・アルバムは楽曲自体がとても良いので機会があれば是非どうぞとおススメできます。

テーマ曲ではなくて肝心のアニメ「東京喰種トーキョーグール」ですが、内容がとても暗いために見るのが少し苦痛で最初の二三話しか未だ見ていないです。原作の漫画も読んでいませんが、楽曲だけで惹き込まれてしまいました。アニメはこれから少しずつ見ようと思っています。

 
 
 

 
 
 

『サイコパス』:

「TK from 凛として時雨」はソロ・プロジェクトですが、バンド名義「凛として時雨」もアニソン界隈で楽曲提供を行っています。露出しているものとして「PSYCHO-PASS」(サイコパス)というアニメシリーズのテーマソングを担当しているのが確認できます。

ここで筆者近況報告(お気付きかもしれません)ですが、メジャーどころでありながらアニソン界隈での楽曲といったある種ニッチなところを最近漂って漁っています。そこで先ほどと関連して一枚、ご紹介させていただきたいのですが、「中野雅之」がリミックスを手掛けた『PSYCHO-PASS』のテーマです。

これはつい先日(2019年4月3日)に「中野雅之」(Nakano Masayuki, BOOM BOOM SATELLITES)による「PSYCHO-PASS サイコパス」シリーズのテーマソングのリミックス音源を、新劇場版「PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System」の公開に合わせてリリースされたものです。

収録されているのは、「凛として時雨」、「EGOIST」、「Nothing's Carved In Stone」、といったテーマ曲を担当したアーティス等の楽曲をリミックスしたものです。

リミックス音源というフォーマットですが、まるで「BOOM BOOM SATELLITES」(ブンブンサテライツ)を彷彿とさせる珠玉のアルバムに仕上がっております(過去記事『第57回 ブンブンサテライツ』もご参照ください)。オリジナル楽曲とは別のアルバムとしても堪能できますので機会があれば此方も是非ものでご視聴をおススメさせて頂きます。

 
 
 

『アンラヴェル』:

 
 
 

誰かが描いたこの世界の中で
あなたを傷付けたくはないよ

覚えていて
僕のことを
鮮やかなまま

 
 
 

次回をお楽しみに。

 


 

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