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第40回 続・荒野の用心棒 2014年10月

 「第39回 ハウス・オブ・カード」の続きで今回は「続編」です。

 テレビシリーズ「ローハイド」(Rawhide)で人気を博した若きクリント・イーストウッド(Clint Eastwood)が映画界に転身を図った出世作にイタリア人セルジオ・レオーネ(Sergio Leone)監督とのコンビ「荒野の用心棒」"A Fistful of Dollars" があります。

 イタリアで制作された本作は「マカロニ・ウェスタン」(英語圏では「スパゲッティ・ウェスタン」"Spaghetti Western"とも。「マカロニ」は映画評論家の淀川長治氏が言い換えた造語が定着) というジャンルを切り開いたことで有名ですが、「荒野の用心棒」はその邦題のとおり黒澤明監督の「用心棒」"Yojimbo"を模倣(無許可のリメイク)したことでもよく知られています。ですからストーリーの面白さは折り紙つきであり、興行も人気を博したので続編も制作され全三部作となりました。

 この「荒野の用心棒」の続編といえば、「続・荒野の用心棒」"Django" であろうと普通は思ってしまいますが、実は違います。原題を見れば一目瞭然なのですが、わざと紛らわしい邦題を付けているのです。「続・荒野の用心棒」"Django" は、フランコ・ネロ(Franco Nero)が機関銃の入った棺桶を引きずるシーンで強烈な印象を観客に残した "Spaghetti Western"であり、淀川長治氏も太鼓判を押すマカロニ・ウェスタン映画の代表作です。

 「荒野の用心棒」"A Fistful of Dollars" の本当の続編は、「夕陽のガンマン」"For a Few Dollars More" です。続く三作目が「続・夕陽のガンマン」"The Good, the Bad and the Ugly" です。もちろん、三部作の主役「名無しの男」は、クリント・イーストウッド。忘れてはならないのは、クリント・イーストウッドの日本語版の吹き替えはやっぱり山田康雄氏がしっくりきます。

 クリント・イーストウッドといえば「ダーティハリー」"Dirty Harry" のハリー・キャラハン (Harry Callahan)がはまり役ですが、同じくドン・シーゲル(Don Siegel)監督と初コンビを組んだ映画「マンハッタン無宿」"Coogan's Bluff" もお薦めさせていただきます。主役の「クーガン」が「ハリー」の雛形となっており、"Dirty Harry" シリーズの荒削りな原型を堪能することができますので一興かと思います。吹き替えは同じく山田康雄氏が良いでしょう。お薦めさせていただきます。

 プリヴィアスリィ、ア・ハウス・オブ・カード(Previously, a House of Cards)は、映画とテレビ業界の垣根、ケビン・スペーシーの野望、Netflixの特異点、Apple無料配信キャンペーンの誤算、変わりゆくものと変わらないもの、をお届けしました。今回の話題もインターネット上でのコンテンツ配信について引き続き探るため、台風の目であるネットフリックス(Netflix)から探っていくことにしましょう。

 ネットフリックス(Netflix)は現在世界四十ヶ国以上にユーザーが散在しており、一昨年(2012年)三千万人、昨年(2013年)四千万人に上る膨大な顧客を抱えており、今年(2014年)は現在時点で既に五千万人超えると報告されています。サービスのシステム化にてこずって一時期経営危機に陥った会社が現在は快進撃ともなぞらえる急激な成長を続けているのです。しかも、北米(米国、カナダ)のインターネット・トラフィック量の報告では、YouTubeが二割に達するのに比較してNetflixはトラフィックの三割以上を占めるらしいのです(二つのサービスだけで全体の半分というのも凄い数字です)。

 Netflixは、この巨大なサービスを支えるインターネットでの動画配信インフラとして(2010年以降)全面的にアマゾン ウェブ サービス(Amazon Web Services, AWS)を利用しています。Netflixのオンライン視聴サービスのすべてがAWS上に存在しているのです。Netflix がAWSを採用している主要な理由は(容易に想像が可能ですが)経営層のインタビューに因れば二点に要約できます。一つは、「(短期間に数十万人単位で増えるような)急激な会員数増加に伴うトラフィックにインフラが全く追い付けないこと。自社で作っていては到底間に合わない。」という危機的問題点解決のため。もう一つは、「インフラは考えなくて良いなら考えたくない。エンジニアはビジネス改善に注力したい。」との主業務に戦力を投入するという経営方針。彼は「未来はクラウドにある。」という趣旨の発言もされていました。これらの発言の背後には、2008年にレンタルDVD業務を自社専用インフラでサービス構築/運用していた際にデータベース障害によって大きな損失を出して失敗した手痛い経験値からの反省と選択なのであろうことが推測できます。

 実態としてはビジネスの業態や規模に因るのでしょうが、Netflixのように顧客が倍々ゲームで増加する状況ではクラウド・コンピューティング以外のジャンルの選択肢自体が存在し得ないのかもしれません。DVDのレンタル業務から動画コンテンツ配信に生業が大きく舵取りされた現在のNetflixに於いては、一日に数千台単位でのインスタンスの作成と破棄を行い、数十万単位のインスタンスを運用管理するためにAWS(Amazon Web Services)以外の選択肢がその当時に存在しなかったと憶測されます。Netflixでは実際に数千台に上るサーバーを数分で配置する用途にAWSが採用されています。

 加えて、米国、カナダの北米だけに留まらず、メキシコなど中南米、イギリスやフィンランド、オランダなどヨーロッパ各国へと世界各国でサービスを行うNetflixでは、グローバルにコンテンツ配信を行うためにCDN(Contents Delivery Network)がスムースな視聴による顧客満足を獲得するために必要とされます。当初NetflixはCDNの雄であるアカマイ(Akamai Technologies)やライムライト(Limelight Networks)を利用していたのですが、AWSのCDNサービスAmazon CloudFrontを新たに採用しました。AWSのサービスが故に世界中のエッジ・ロケーションに配置されているキャッシュ・サーバーを利用できる上に、Amazon CloudFrontは動画ストリーミング配信にも対応しているのです。Netflix がAWS上でほぼ100%自社サービスを構築していることからシームレスに連携可能で、しかも世界中に顧客を持っているという事情のため、NetflixにとってAmazon CloudFrontは打って付けのサービスなのです。そしてAWSにとってもNetflixは最大級の顧客の一人となっているのです。

 またNetflixは単にAWSの利用者に留まらず、自社サービスの向上を目的としてAWSの機能をフルに使い熟すべく40以上に及ぶ各種ツールを開発しOSS(Open-Source Software)として公開しています。代表的なものには、セキュリティ設定追跡ツールの "Netflix Security Monkey"やAWS管理コンソール機能を提供する" Netflix Asgard"はオバマ大統領選(Obama for America)でも使用されたことで相応の知名度を誇ります。OSSとして公開することでAWSへの付加価値にも直結します。NetflixとAWSが補完しあいながら相互に共存共栄しているのです。

 そんな状況のNetflixとAWSの蜜月な関係なのですが、Amazon本体が"Prime Instant Video"(日本ではAmazonインスタント・ビデオの名称、但しサービス内容は北米版と異なる)という名前で動画配信ストリーミング・サービスに参入しているのです。同様の現象がオンライン・ストレージでも発生しています。ドロップボックス(Dropbox)がAWS(Amazon S3)をストレージのバックエンドとして利用しているのは有名な話ですが、これまたAWS自身が文書管理サービスであるAmazon Zocalo(2014年7月)を発表したのです。果たして卸元ともいえるAmazonを超えるような付加価値をDropboxが今後持ち得るのかが彼らの生存に関わる緊急事態となったのです。過去に幾度となく繰り返されたことではありますが、少し前のOSベンダとアプリケーション・ベンダに酷似した関係性が予想されます。ベンダロックインを含めてのジレンマとなりますが、今後どのような棲み分けになるのかを注視していく必要性があるでしょう。

 ところで日本国内での動画配信サービス動向についてですが、未だ水面での偵察という感じに思われます。数年前(2011年)にテレビ局や映画会社が設立した米国産の動画配信サービスの「フールー」(Hulu)が日本上陸で話題を呼びました。現在、Huluは日本向けサービスの権利を民放のテレビ会社が所有しています。これは将来を見越した保険ともいえるのでしょう。他サービスの動向では通信インフラの関連企業やコンテンツを有するテレビ局、更にはコンテンツの二次利用を行うレンタルビデオ会社などが個別に、あるいは協調してサービスを試作しており、多数の動画配信プラットフォームやストリーミング・サービスなどが独自に展開されています。これらサービスの普及ポイントとしてはNetflixと同様に定額料金サービスでの利用の手軽さと割安感が一つの戦略となるのでしょうし、また日本での急激なサービス展開の背景にはテレビやパソコン以外にスマホ(スマートフォン)が急速に市民権を得たことによる連鎖で移動可能な可搬型メディア視聴媒体としてのスマホの位置付けの影響が大きいのだと考えられます。手軽に視聴できるスマホ向け専用サービスの存在が前述の理由を証明しています。そして日本でもやっと民放テレビ局で構成される民放連が放送終了後に見逃した番組をインターネットで無料視聴できるサービスを開始するというニュースが2014年9月18日付けで流れていました。実際にストリーミング配信は便利です。映画やドラマなどの長尺の映像についても消費者と提供者の利便性から遅かれ早かれ将来的にネット配信になるのは避けられない変化となります。

 こういった状況下、Netflixは未だ(2014年時点)日本でサービスインしていません。もし、Netflixが日本に上陸したら将来の動画配信市場を寡占される恐怖と浸透していないサービスの粛清と増えすぎたサービスの淘汰が始まり大変な騒ぎになることでしょう。

 音楽業界を鑑みるとAppleのiTunes Store(サービスイン当初はiTunes Music Store)の切り込みやナップスター(Napster)を筆頭に音楽配信サービスの登場に激震と変革が起こり、日本でもネットでの音楽配信、デジタル・ダウンロード販売に移行しています(但し現在Napsterは日本ではサービス停止しています)。他方で未だCD/LPなどメディア媒体で購入する方もいますが、若年層では再生するためのCDプレイヤーすら持ってないのが普通らしいのです。消費スタイルが確実に変質したのが確認出来ます。AppleのU2最新アルバム配信の例に漏れず、音楽と映像というコンテンツの違いこそあれ、非常に近い両者は同様にマッシブ・コンシューマー(Massive Consumer、膨大な数の消費者)を相手にする配信方法や経路としてインターネットなしでは存在し得なくなるのは必然です。

 ところで心待ちにしていた「ハウス・オブ・カード」 "House of Cards" のシーズン2ですが、2014年10月3日から日本でもブルーレイ/DVDで解禁になりました。現在、鋭意視聴中です。シーズン2では冒頭から話が大きく展開しており予断を許さない状況です。シーズン3は来年(2015年2月)リリース予定であり、これが何シーズンまで続くのかは分かりませんが、毎回、毎回、話の結末を想像してしまいます。どのように収束させるのかが気になるのです。先走り過ぎですかね。

 もうひとつニュースがあります。デヴィッド・リンチ(David Lynch)のTVドラマシリーズといえば「ツイン・ピークス」 "Twin Peaks"ですが、なんと2016年から新シリーズが始まるそうです。最初のシリーズ放送が1990年でシーズン2が翌年(1991年)ですから、四半世紀ぶりに「続編」登場です。果たしてローラ・パーマーが再登場するのかは不明ですが、楽しみに待ちたいと思います。

 冒頭話題にさせていただいたクリント・イーストウッドですが、80歳を過ぎた今でも俳優、監督業と現役を続けています。仕事と私生活の両方で幾多の試練があったのだろうと憶測されますが、好きなことをやり続ける彼のように歳を重ねたいと筆者は憧れています。京都国際映画祭でインタビュー(2014年10月20日付)を受けた内田裕也氏の「クリント・イーストウッドを目指す」発言も僭越ながら筆者と同じ気持ちなのだろうと想いを馳せました。

次回もお楽しみに。

 


 

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