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第2回 高い可用性を持つMicrosoft Azure IaaSのデータセンターについて (武田正樹) 2015年5月

本コラムはコラム「今からはじめる Microsoft Azure」にて、2020年補足版を公開しております。

今からはじめる Microsoft Azure - 第6回 高可用性を持つMicrosoft Azureのグローバルインフラストラクチャ

 今回のコラムでは 、前回ご紹介したMicrosoft Azure IaaS を「高可用性」という観点からご紹介します。まずは、データセンターの構造を理解することで、この後の回でご紹介する仮想マシンの構造を理解するのにも役に立ちます。

Microsoft Azure データセンターの場所

 Microsoft Azure のデータセンターはパートナー展開している中国を含めて全世界で19リージョンあり、日本には 東日本リージョンと西日本リージョンが設置されています。日本以外にもアジア、ヨーロッパ、北米、南米、オーストラリアと南極を除く全ての大陸にデータセンターがあります。Microsoft Azureデータセンターの場所については図1をご覧ください。各データセンターの詳細な場所については、こちらのURL(http://azure.microsoft.com/ja-jp/regions/) にてご確認いただけます。

fig01

図1 Microsoft Azure データセンターの場所(中国を除く)

 図1をご覧いただくとお気づきになるかと思いますが、Microsoft Azureのデータセンターは日本、アジア、ヨーロッパ、オーストラリアに各2か所、米国に6か所(政府クラウド含めると8か所)、ブラジルに1か所あり、ブラジル以外は同一地域に偶数か所存在していることになります。これにより、2つの拠点を利用した同一地域内でのシステムの冗長構成を構築可能になるのはもちろんの事、大規模災害などにおいてもデータが無くならないように「ストレージの地理冗長」という機能が実装されています。

ストレージの地理冗長

 そもそもMicrosoft Azure ストレージのデータは、ハードウェア障害が発生した場合でもSLA を満たすように、同じデータセンター内でデータのコピーを 3 つ保持するようになっています。これをローカル冗長ストレージ(LRS)といいます。LRSは同一データセンター内でのコピーになりますので、大規模災害などでデータセンター全体に障害が発生した場合はSLAの未達はおろかデータ消失のリスクもあります。これを回避するためMicrosoft Azure が提供するのが地理冗長ストレージ (GRS)です。GRSは、LRSに加えて別のデータセンターにも複製された3つのデータを保持しています(図2参照ください)。プライマリ拠点で障害が発生した場合、ストレージはセカンダリ拠点にフェールオーバーされますので、プライマリ拠点のデータセンターに災害が発生してもデータが保証される仕組みになっています。

fig02

図2地理冗長ストレージ (GRS)

 なお、東日本リージョンにシステムを配置しつつストレージをGRSにすると西日本リージョンがセカンダリ拠点としてデータの複製を持ち、西日本リージョンをベースにストレージをGRSにすると東日本リージョンがセカンダリ拠点になるので、日本からデータが海外に出ることはありません。GRSにおけるプライマリ拠点とセカンダリ拠点の場所については表3をご覧ください。

表3 ストレージのプライマリ拠点とセカンダリ拠点の組み合わせ

地域 プライマリ拠点 セカンダリ拠点
日本 東日本 西日本
西日本 東日本
米国 米国中北部 米国中南部
米国中南部 米国中北部
米国東部 米国西部
米国西部 米国東部
米国東部2 米国中央部
米国中央部 米国東部2
米国政府アイオワ 米国政府バージニア
米国政府バージニア 米国政府アイオワ
ヨーロッパ 北ヨーロッパ 西ヨーロッパ
西ヨーロッパ 北ヨーロッパ
アジア 東南アジア 東アジア
東アジア 東南アジア
南米 ブラジル南部 米国中南部
オーストラリア オーストラリア東部 オーストラリア南東部
オーストラリア南東部 オーストラリア東部
中国 中国東部 中国北部
中国北部 中国東部
障害ドメインと可用性セット

 ストレージの冗長化以外にも、Microsoft Azure のデータセンターは高可用性を実現するような設計がされています。図3はMicrosoft Azureデータセンターの簡易図で、ファブリック コントローラという管理機能が「クラスター」を管理しており、クラスターには複数のラックがあります。

fig03

図3 データセンターの構造

 Microsoftはサービスとしての冗長性が重要だと考えて冗長化されているため、ラックに物理障害が発生しても、他のラックに影響を及ぼさずにサービスを継続できるよう設計されています。この場合の各ラックのように単一障害点となりうる単位を「障害ドメイン」とよび、Microsoft Azure上でサーバーの冗長化を行う場合には別々のラックにサーバーを配置すればよいことがわかります。これを実現する機能が「可用性セット」というMicrosoft Azureの機能になります。仮想マシンを作成するときにこの可用性セットを設定することで仮想マシンが別々のラックに自動配置され冗長化されるようになっています。なお、Microsoft Azure 仮想マシンのSLAは99.95%ですが、同じ可用性セット内にデプロイした 2 つ以上のインスタンスがある場合に限りますのでご注意ください。

fig04

図4 可用性セット

まとめ

 いかがでしょうか?
Microsoft Azure IaaS で可用性の高いシステムを構築・運用するためには、データセンター側の冗長化の仕組みも知っておくとよいでしょう。次回はMicrosoft Azure IaaSのコンピューティングサービス「仮想マシン」についてご紹介します。

Microsoft Azure IaaS について勉強したい皆様へ

 Microsoft Azure IaaSの概要から実践までカバーしている自習書シリーズが提供されています。Microsoft Azure IaaS について学習するには最適な資料になっておりますので、ぜひご活用ください。

Microsoft Azure 自習書シリーズ
http://blogs.msdn.com/b/windowsazurej/archive/2014/06/02/blog-published-azure-self-learning-series.aspx

Microsoft Azure スライドシリーズ
http://blogs.msdn.com/b/windowsazurej/archive/2014/07/18/blog-release-microsoft-azure-slide-series.aspx

 


 

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