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AI活用時代にPythonで見る夢

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第1回 Pythonのすゝめ (辻慎吾) 2016年10月

こんにちは、辻真吾と申します。

ところでみなさんは、地球以外の惑星に生命が存在しているかどうか、考えたことがあるでしょうか?
私は、地球のような惑星が、この宇宙にはたくさんあると思っています。
ある惑星は、地球の恐竜時代かもしれませんし、別の惑星は、人類の祖先のような生き物が、洞穴で暮らし、よく磨いた石器の武器で、猪狩りに出掛けるところかもしれません。
うまく進化した知的生命体が、計算機を発明している惑星もあると思います。そのうち一部は、量子的な物理現象を巧みに扱い、いまの地球にあるコンピュータよりも遙かに優れた性能を実現しているかもしれません。そうなると、ごく稀に、自分たちの開発したAIに支配されてしまった知的生命体が、宇宙のどこかにいてもおかしくなさそうです。
地球がこの先どうなるか分かりませんが、私自身は、AIに支配される心配より先に、考えるべき事があると思っています。
それは、データの爆発的な増加と、それに伴う機械学習の急速な進化によって、人のやっていた仕事が急速に機械に置き換わっていく現象です。

このことについては、日経BP社から出版されているエリック・ブリニョルフソンの「ザ・セカンド・マシン・エイジ」などに詳しいので、興味がある方はご一読ください。新米弁護士さんの簡単な資料整理や、スポーツの結果を報道する記事など、これまで人がやっていた仕事が、実際に機械に置き換わりつつある事例が、克明に描かれています。これまで人がやっていた仕事を、機械が代わりにやってくれるのなら、資本家は人よりも機械に投資して、さらに富を増やします。反面、労働者の収入は減るので不満が募ります。最終的には、社会全体が不安定になってしまうので、このシナリオはあまり嬉しくありません。
幸い、昨今人工知能としてもて囃されているものの中には、大した実力が無いものも多いので、私はまだまだ人間が、その能力を発揮出来る分野はあると思っています。

しかし、時代が急速に変化しているので、主に次の2点を早急に変えていく必要があると考えています。

・学校の教育方法
・プログラマーでは無い人の仕事のやり方

ググれば2分で分かることを一生懸命覚えて、テストで答えて、すぐ忘れる、という繰り返しにはまったく意味がないと思いますが、最低限の知識は無いと困るので、教育の改革は難しい問題です。また、知識を問う問題だけではなく、大学入試の数学の難問ですら、コンピュータを使えばすぐに解けることもあります。このあたりは私の友人が真剣に研究しているので、このコラムでも取り上げて見たいと思っています。

教育も重要ですが、働き盛りの知的労働者が、5年後仕事を失うかも知れないと思うと、こちらの方が喫緊の課題です。ただ、こちらは教育改革よりも解決は簡単で、みなプログラミングを学んだら良いだけです。それも、Pythonで。
「なんだ、たいそうな話をしておきながら、結局、我田引水か?」と思った方もいるかも知れませんが、もう少しお付き合いください。

プログラミングと聞くと、特殊能力のように思われがちですが、そこにはさまざまなレベルがあります。一口にプログラミングと言っても、C言語とPythonでは、まったく難易度が違います。もちろん、難しいCやC++を使うのは実行速度のためですが、ちょっとしたデータ処理にそれほどの実行速度は必要ありません。
また、最近のプログラミングスタイルの変化も見逃せません。Webアプリケーションからデータ解析まで、ライブラリと呼ばれるプログラムの部品を使って、全体の機能を作り上げていくのが、最近のプログラミングのスタイルです。部品が作れるようになるには、相当な修行が必要ですが、出来上がった部品を使って、Webアプリを作るだけなら、それほど修行は要りません。データ解析の分野でも、複雑な計算をライブラリに任せられるので、基本的な文法さえ分かっていれば、プログラミングで仕事を効率化するこが出来ます。

ここで生きてくるのが、Pythonが初心者に優しいという事実です。Pythonを設計したグイド・ヴァンロッサムは、完結にコードが書けるように、さまざまな工夫をPythonに施しています。他の言語と比べて、ifやforと言った予約語が、Pythonでは少ないこともその1つです。覚えることが少なければ、早く習得できるというわけです。実は初心者に優しいという事実は、プログラミングに慣れた人にとっても、楽ができるということを意味しています。私は10年ほど前に、すっかりPythonの魅力にはまり、当時好きだったJavaをすっぱり捨てたのを覚えています。

Pythonは世界的に人気の言語なので、ライブラリが豊富にあります。とくにデータ解析や機械学習の分野ではこれが顕著です。Pythonの基本的な文法を覚えるだけで、こうした強力な武器を使えるようになるわけです。具体的に、どんなライブラリがあって、どういった仕事に役立つのかは、このコラムで順次紹介していく予定です。

と言うわけでこのコラムでは、Pythonを使って仕事の効率を上げ、機械に仕事を奪われるのでは無く、機械を活用して、さらに人類の能力を進化させることを目標にしようと思います。すこし大きく出ましたが、Pythonに関するさまざまな話題を扱って、みなさまの夢の実現の一助になれれば幸いです。

 


 

筆者書籍紹介

いちばんやさしいパイソンの本
Python スタートブック
  ――Pythonの基本をしっかりマスター

まったくのゼロからでも大丈夫

辻真吾 著
B5変形判/352ページ
定価(本体2,500円+税)
ISBN 978-4-7741-9643-5
詳しくはこちら(出版社WEBサイト)
Pythonスタートブック増補改訂版

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