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第7回 おすすめPython関連書籍 (辻真吾) 2018年5月

書籍の役割

Webにあらゆる情報が溢れる現代において、書籍にはどんな役割があるのか、考える事が時々あります。様々な情報を著者が理解し、伝わりやすいように再構成して、ひとまとまりの文章にしたものが、書籍だとすると、その重要性は情報が溢れ返って簡単に手に入れられる時代には、むしろ益々重要になるのではないかと思えます。高性能な検索エンジンのお陰で、Webを使えば欲しいと思う情報の断片へは、すぐにアクセスできます。しかし、新しい分野へ入門しようと思い、体系だって知識を学びたい場合は、やはりWebにある断片情報より書籍が役に立つと思います。これからは、紙の本という形式ではなく、PDFや電子書籍のような形になっていくかもしれませんし、さらに動画やインタラクティブなソフトが使われるようになるかもしれません。今後、学びの環境にどのような変化があるかは興味深いですが、現時点では、書籍を使った学びはとても重要だと思います。というわけで、今回は私が持っているPython関連書籍の中から、目的別におすすめの本を紹介しようと思います。

Pythonに入門したい
Pythonスタートブック[増補改訂版](辻真吾、技術評論社、2018)

冒頭から拙著の宣伝ですみません。2010年に出版し、ご好評をいただいた初版の増補改訂版が、2018年の4月に発売となりました。プログラミングの経験がほとんどない方でも読めるように書かれています。初版はPython2でしたが、Python2が2020年にサポートされなくなることもあり、Python3に完全対応しています。データ解析とWebアプリ開発が初歩からわかる新たな2章を付け加えましたが、個人的には、macOSとWindowsで、OSのシェルのコマンドを統一できたことがよかったと思っています。macOSは、もともとUnix系OSで標準的に使われているシェルのコマンドを採用していましたが、Windowsは独自のコマンド体系をもっていました。しかし、時代が変わって、WindowsもUnix系OSのコマンド体系に準拠するようになり、このあたりの解説がスッキリしています。もし、読んでいただいて、ご意見やご感想などありましたら、遠慮無く直接メールなどでご連絡ください。

いちばんやさしいPythonの教本 人気講師が教える基礎からサーバサイド開発まで(鈴木たかのり、杉谷弥月、株式会社ビープラウド、インプレス、2017)

泣く子も黙るPython技術者集団であるビープラウド社と、業界の超有名人鈴木たかのりさんらによる入門書です。フルカラーでイラストも多いので見やすく、それぞれの項目がLessonに分かれているので、プログラミング初心者でも飽きずに読み進められそうです。入門的な内容だけではなく、後半ではWebアプリ開発も解説されているので、Pythonを学んでWebアプリを作りたいと思っている方には、最適かもしれません。随所に、著者さんのイラストがあるので、「誰かと一緒に学んでいる感」があるのも、おすすめポイントです。

みんなのPython 第4版(柴田淳、SBクリエイティブ、2016)

Python以外のプログラミング言語の経験があって、Pythonの全体像を把握したいと思う方におすすめです。著者の柴田さんは、私に「Pythonスタートブック」を書くきっかけを与えてくれた方です。改訂を重ねて、すでに4版になっていますが、この版からPythonの実行環境として、Jupyter Notebookを採用しています。500ページとかなりのボリュームですが、プログラミングの経験がある方なら、すぐに読みこなせると思います。ちなみに、みんなのPythonシリーズには、その昔Webアプリ版がありましたが、残念ながら今は絶版になっています。ただ、こちらのページから、前編をWebで読むことができるようになっていますので、Webアプリ開発に興味のある方は是非目を通して見て下さい。

独学プログラマー Python言語の基本から仕事のやり方まで(コーリー・アルソフ、清水川貴之監訳、新木雅也訳、日経BP社、2018)

少しプログラミングの経験があって、Pythonを使ってプログラミングの仕事をしたいと思って居る方におすすめの1冊です。前半はPythonの入門ですが、後半は、Bashや正規表現、バージョン管理と言った本格的にプログラミングをしていくときに、必ず必要となる知識が網羅されています。さらに、チームでの働き方まで解説する章があるので、発売からもの凄い勢いで売れているのも納得できます。個人的なおすすめポイントは、原著のPythonコードを、訳者が手直し(リファクタリング)しているところです。監訳の清水川さんは、ビープラウド社所属ですが、やはりこの会社の技術力の高さが垣間見えます。

Pythonでデータ解析や機械学習をしたい
PythonユーザのためのJupyter[実践]入門(池内孝啓、片柳薫子、岩尾エマはるか、@driller、技術評論社、2017)

Pythonを使ってデータを解析するときに、必須のツールになっている、Jupyter Notebookとその周辺技術について解説した本です。pandasやmatplotlibなど、データの処理と可視化に必要なライブラリについて、日本語の利用を念頭にして丁寧に書かれているところは、著者のひとり、片柳さんから直接聞いたおすすめポイントです。最近この本を、大学関係のある知り合いに紹介したら、「matplotlibは、ネットで調べるとコードの断片はすぐ出てくるけど、本を読んで全体が分かったので良かったです。」と嬉しいコメントを頂きました。Jupyter NotebookはPythonだけでなく、Rなど他の言語を利用することも出来ますが、本書の最後の方でこのあたりの解説があり、懐が深いな、と思わせる1冊です。

[第2版]Python 機械学習プログラミング 達人データサイエンティストによる理論と実践(Sebastian Raschka、Vahid Mirjalili、福島真太朗訳、株式会社クイープ訳、インプレス、2018)

Pythonで機械学習を学ぼうと思うとき、間違いのない1冊です。改訂版では、初版にほとんど無かったディープラーニングについて、かなり詳しく解説されています。機械学習に関する知識を、豊富なサンプルコードと一緒に学べるので、大学や社内のグループで、輪読形式で読むのも良いかもしれません。というのは、改訂版ではページ数が600ページ近くになっており、1人でモクモクと読むのは、すこし厳しいかもしれません。ただ、この1冊でほとんどの知識を手に入れられるので、ひとまず買って手元に置いておき、リファレンスとして活用するのもおすすめです。

Python Data Science Handbook: Essential Tools for Working With Data(Jake Vanderplas、Oreilly & Associates Inc、2016)

今回紹介するなかで、唯一の英語の書籍です。この本の日本語版があると良いのですが、Pythonを使ったデータサイエンスの基礎から、機械学習プログラミングまで、バランス良く網羅されています。著者が、Pythonを使ったデータサイエンスの分野で、経験豊富なので、随所に深い洞察に基づいた記述があり、大変参考になります。

Pythonを極めたい
エキスパートPythonプログラミング改訂2版(Michal Jaworski、Tarek Ziade、稲田直哉訳、芝田将訳、渋川よしき訳、清水川貴之訳、森本哲也訳、KADOKAWA、2018)

初版が2010年に出たとき、すぐに購入して読んだのを覚えています。Pythonは入門者にもやさしい言語なので、私も含め、入門書を書く人は多いですが、ここまでエッジの効いた堅い感じの書籍は、Pythonでは珍しいかもしれません。たとえば、並行処理の章では、multiprocessingモジュールの使い方や、Python3.5から構文が追加され、より簡単に利用できるようになった非同期プログラミングの解説などもあります。また、C/C++言語でPythonを拡張するための章もあるので、Pythonに少し興味がある、手練れのCプログラマの方にもおすすめです。

最後に

Pythonの人気の高まりとともに、関連書籍も多く出版されるようになりました。もちろん、私自身もすべてに目を通しているわけではありませんので、この記事を参考に、ぜひご自分の目的に合う1冊を探してみてください。

 


 

筆者書籍紹介

いちばんやさしいパイソンの本
Python スタートブック
  ――Pythonの基本をしっかりマスター

まったくのゼロからでも大丈夫

辻真吾 著
B5変形判/352ページ
定価(本体2,500円+税)
ISBN 978-4-7741-9643-5
詳しくはこちら(出版社WEBサイト)
Pythonスタートブック増補改訂版

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