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第27回 OSのはなし (辻真吾) 2023年4月

はじめに

みなさんは普段使っているコンピュータのOSについて考えたことがあるでしょうか?私はOSが好きです。今回は1人でも多くのOS好きを作るべく、OSの話をしたいと思います。

OSの種類

OSはOperating Systemの略で、日本語では基本ソフトと呼ばれます。コンピュータの電源をいれるとまずはじめに起動して、ユーザに使いやすい環境を提供してくれます。OSがなければ、コンピュータに0と1のバイナリ列で直接指示を出さなければなりません。そんなことができる人はごく少数なので、OSがいかに有り難い存在かがわかります。

PC(パーソナルコンピュータ)用のOSであればMicrosoft社のWindowsとApple社のmacOS、スマートフォン用のOSであればGoogle社のAndroidとApple社のiOSが主流です。OSが違うと、起動できるアプリケーションソフトが変わるので、より沢山のアプリが動くOSに人気が集まります。たとえば、スマートフォン用のOSにはAndroidとiOSの他に、Microsoft社製のWindows Phoneがありました。Windows Phoneは2019年12月に開発を終了しています。天下のMicrosoftがGoogleとAppleに敗れたわけです。スマートフォン用OSの選択肢が減ってしまったことは残念ですが、Microsoftが勝てないとなるともはや無理か?という気もしてきます。いずれにしても、そのOSでどのようなアプリが動くかは、OSの運命を左右する重要な要素だと言えます。

PC用のOSでは、Linuxも有名です。Linuxはオープンソースソフトウェアとして開発されています。WindowsやmacOSと違って、Linuxを利用してもお金を誰かに支払う必要はありません。また、OSのソースコードを誰でも見ることができ、やる気とスキルがあれば改造も可能です。コンピュータに詳しい方は、日常の業務にLinuxを使っている方もいるでしょう。Linuxの存在感は増す一方です。最近、MicrosoftはWindowsの中でLinuxを動かせるようにしています。Windows Subsystem for Linux(WSL)と呼ばれるものです。つまり、WindowsでLinux用のアプリが起動します。私は普段macOSを使っていますが、WSLがあるなら再びWindowsに乗り換えてもよいかもしれないと思っています。

思い出話

最近のOSはかなり洗練されてきたので、コンピュータを使っている最中にOSが突然動かなくなる、というような事態はほとんど起こらなくなりました。これが20世紀の終わりごろはまったく違った状況で、作業の途中でOSが落ちるという事件は日常茶飯でした。もちろん、そこまでの保存していない作業はすべて消えます。ですので、当時はより良いOSを選ぶということに意味がありました。Windows95は有名なOSですが、その頃の私はより安定して動作するWindowsNTを使っていたのを覚えています。

OSが好きな私は、自作のPCにいろいろなOSをインストールして楽しんでいました。1998年頃だったでしょうか。LinuxやFreeBSDがお気に入りでした。当時は、こうしたマイナーなOSをインストールするだけでも少し手間がかかったので、それを楽しんでいたわけです。あまり知られていないOSというものは今も昔もたくさんあります。もっとも思い出に残っているOSと言えば、1998年12月に発売されたBeOSです。BeOSが発売された1998年12月19日の0時、私は秋葉原で行列に並んでいました。その頃を振り返る記事がこちらにあります。行列の写真は顔を確認できませんが、当時の雰囲気を伝える貴重な資料です。

BeOSは超高性能という点が最大のアピールポイントでした。また実際に驚異的な性能を発揮したのを覚えています。Windowsではなめらかに動かなかった3DのCGが、同じハードウェアにBeOSをインストールすると、まったくストレスなくグリグリ動かせた時は感動しました。

当時大学生だった私は、これからは絶対に皆BeOSを使うようになる!と確信しました。頻繁に落ちて、ハードウェアの性能を十分に発揮出来ていないWindowsがBeOSに置き換わるのは時間の問題だと思っていたわけです。しかし、そうはなりませんでした。性能が良いものが流行るわけではないということを、身をもって知ったよい思い出です。

BeOSのその後

BeOSは世界的に販売が思うように伸びず苦戦します。ちょうどその頃、Apple社は今のmacOSを開発する計画を進めていて、BeOSはこの候補の1つになりました。ここで選ばれていれば、いま私はBeOSを使えていたのですが、こちらもうまくは行きませんでした。ちなみに、現在のmacOSはDarwinというOSがベースになっています。BeOSは開発を終了し、開発元のBe社も解散します。

BeOSは無くなってしまいましたが、オープンソース版のBeOSを目指すプロジェクトHaikuがあります。Haikuはまだβ版ですが、β4が2022年12月23日にリリースされました。WindowsもmacOSも安定して動くこの時代にあって、別のOSがいるのか?というのは愚問です。OS好きとしてはインストールしてみるしかありません。あるOSの上で別のOSを起動するソフトウェアは仮想化ソフトウェアと呼ばれます。macOSではParallelsやVirtualBox、Boot Campなどが有名です。私はParallelsにHaikuをインストールしてみました。全体的なデザインがBeOSを彷彿とさせるもので、かなりカッコイイです。専用のWebブラウザ(WebPositive)やPDFビューア(BePDF)などのソフトが同梱してあるので、ちょっとしたことならBeOSでもできそうです。

まとめ

国産OSのTRON(トロン)や伝説のコンピュータ会社Sun MicrosystemsのSunOSやSolarisなど、まだまだ言いたいことは山ほどありますが、このあたりでやめておきましょう。OSはいまや社会の基盤になっています。これを特定の世界的大企業が独占しているという事実は冷静に考えると驚きです。すべてをLinuxのようなオープンでフリーなソフトウェアにすることは難しいかもしれませんが、多様性を維持することは重要です。普段OSについて考えたことが無い方は、ぜひOSを意識してみてください。もし良かったら、マイナーなOSのインストールにもチャレンジしてみましょう。私は単に趣味でやっていますが、OSのインストールはコンピュータの勉強になるのでおすすめです。また、OSの歴史はコンピュータ業界の覇権争いの歴史でもあるので、面白いエピソードが沢山あります。趣味の欄に「OS」と書く人が増えれば、社会はきっと良くなります。

 


 

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