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[IT研修]注目キーワード Python Power Platform 最新技術動向 生成AI Docker Kubernetes
このコラムでは、「Webガバナンス」をテーマに様々な切り口で、突っ込んだ内容までお届けしてみたいと思います。
企業のWebサイトは、いまや会社案内やPRだけの存在ではありません。
採用、営業、問い合わせ対応、情報発信など、事業活動を支える重要な経営資産です。その一方で、部門ごとに異なるCMS(Content Management System)を使っていたり、制作会社ごとに運用方法が違っていたりすると、全体を見渡しにくくなります。こうした状態では、更新漏れや確認漏れが起こりやすく、セキュリティ対策も安定して回りません。
そこで重要になるのがWebガバナンスです。
Webガバナンスとは、WebサイトやWebアプリケーションを統一された方針と明確な体制のもとで管理し、安全性や効率性、ブランド価値を維持・向上させるための枠組みを指します。
最近では、個別の対策をその都度積み上げるだけでは、企業全体のリスクに対応しきれないという認識が広がっています。KPMGの2025年調査(※1)でも、サイバー攻撃の被害額高額化に加え、子会社や外部委託先まで含めた管理の重要性が示されています。また、Gartner(※2)も2025年に日本企業が押さえるべき論点として、セキュリティとプライバシーの統制強化を挙げています。
つまり今求められているのは、「何か対策を入れること」ではなく、「対策を回し続けられる状態をつくること」だと言えます。
(※1) https://kpmg.com/jp/ja/media/press-releases/2025/04/kc-cybersecurity-survey.html
(※2) https://www.gartner.co.jp/ja/newsroom/press-releases/pr-20250108-sec-agenda
Webガバナンスという言葉に、少し堅い印象を持つ方もいらっしゃるかもしれません。しかし本来は、現場を縛るための仕組みではなく、担当者が変わっても、委託先が複数あっても、一定の品質と安全性を保てるようにするための仕組みです。
言い換えれば、誰かの経験や勘に頼らなくても、安心してWebを運用できる状態をつくる考え方です。
ここで見落とされやすいのが、「技術基盤のばらつき」です。
たとえば、CMSを例にしてみます。ある部門はWordPress、別の部門はMovable Type、特設サイトは制作会社独自の環境や静的サイトという状態では、アップデートの方法も、確認の仕方も、障害時の対応もそろいません。CMSとは、Webサイトを更新しやすくする仕組みのことですが、種類が増えるほど管理方法も増えます。
さらに、WebサイトにはCMSだけでなく、Webサーバ側も意識しなければなりません。サーバのOS、ミドルウェアなどのアップデート、保守方法や権限設定が部門ごとに異なると、どこにリスクがあるのかが見えにくくなります。
このような"個別最適"は、その場では便利に見えても、長期的には更新漏れや確認漏れを生みやすくします。ログの確認が行われていなかったり、使われていないプラグインが放置されていたりするのは、その典型です。ログとは、誰がいつ何をしたかを記録する運用履歴のことです。こうした記録が活用されていなければ、異常の早期発見も、事故発生後の原因特定も難しくなります。バラバラな運用は、知らないうちにセキュリティを弱くしてしまうのです。
では、どうすればよいのでしょうか。大切なのは、すべてを一度に入れ替えることではありません。まずは現状を見える化し、そのうえで管理しやすい形へ少しずつそろえていくことです。
技術基盤やソフトウェアは、可能な限り統一していく方向がガバナンスにおけるポイントの1つです。ここでいう標準化とは、現場の事情を無視して同じ仕組みを押しつけることではなく、全体として確認しやすく、守りやすい状態へ近づけることです。
そんなWebガバナンス、最初の一歩は、自社がどのようなWeb資産を持っているのかを一覧化することです。コーポレートサイト、採用サイト、ブランドサイト、キャンペーンページ、会員向けページなどを洗い出し、それぞれについてCMSの種類、サーバの管理先、保守担当、管理者権限の保有者を整理します。見えていないものは守れません。まず全体像を把握することが、Webガバナンスの出発点になります。
そのうえで、CMS、サーバ、権限管理、ログ確認の方針をそろえていくと、セキュリティ対策は一気に回しやすくなります。たとえば、利用するCMSを絞る、管理者権限の付与基準を決める、ログ確認の頻度を定める、といった方法です。こうして基盤がそろうと、アップデートの確認や脆弱性への対応手順も共通化しやすくなります。標準化がセキュリティを強くする理由は、特別な技術を追加するからではありません。確認すべきポイントが共通になり、抜け漏れが減るからです。
ただし、仕組みを整えるだけで、すべてが解決するわけではありません。どの基盤を標準にするのか、どこまで権限を持たせるのか、外部委託先に何を求めるのかは、最終的には人が判断するからです。つまり、標準化を本当に機能させるには、DX担当者、Web担当者、経営層が、最低限のセキュリティの考え方を共有していることが欠かせません。
たとえば、XSSやSQLインジェクションという言葉を聞いたことがあっても、何が危険なのかが曖昧なままだと、ベンダーの提案を正しく評価したり、対策の優先順位を判断したりすることが難しくなります。XSSは、悪意あるスクリプトをページに埋め込まれる攻撃、SQLインジェクションは、データベースに不正な命令を送り込まれる攻撃です。難しく見えますが、「Webサイトの弱点を突かれる代表例」と理解すれば十分です。こうした基本を共通言語として持つことが、標準化された運用を現場で回す力になります。
もし、自社でWebガバナンスとセキュリティを一歩進めたいのであれば、基礎から体系的に学べる場を活用するのが近道です。
たとえば、ウェブ・セキュリティ基礎(WS002)は、HTTPの基礎や代表的な脆弱性を整理しながら学びたい方に向いています。また、開発者向けアプリケーションセキュリティの基本(EL187)は、OWASP Top 10などを通じて、開発現場で押さえたい考え方を理解するのに役立ちます。さらに、攻撃者の視点まで踏み込んで理解を深めたい場合は、ハッキング:Webアプリケーション(CD038)が有効です。
標準化は、一見するとルールづくりの話に見えるかもしれません。しかし実際には、誰が見ても運用しやすく、誰が担当しても守りやすい状態をつくることです。そして、それを支えるのは、仕組みと人材の両方です。Webガバナンスを形だけで終わらせないためにも、自社に合った学び方から始めてみてはいかがでしょうか。
ご興味のある方は、ぜひこちらもご覧ください。
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