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第36回 AIによる業務効率化は、なぜ現場で止まるのか? 担当部門が抱えやすい壁と進め方 (穂苅 智哉) 2026年8月19日公開

「AIで業務をもっと効率化したい」。

そうした声は、いまや多くの企業でごく自然に聞かれるようになりました。経営層としても、AI活用を進めたいという意思はかなり明確になってきています。実際、総務省の令和7年版情報通信白書(※1)によると、日本企業で何らかの業務に生成AIを利用している割合は55.2%に達しています。一方で、導入時の悩みとして最も多かったのは、「効果的な活用方法がわからない」という点でした。

この数字を見ると、企業全体としては前向きでも、実際に動かす担当部門では「何から手をつけるべきか」「どこまで業務に落とし込めばよいのか」で迷いやすい様子が見えてきます。
(※1) https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/nd112220.html

AIによる業務効率化を進めたいのに、なぜ現場で止まってしまうのか

AI活用を打ち出す企業は、ここ1〜2年で確実に増えています。たとえばパナソニック コネクトは、国内全社員約11,600人にAI活用を広げ、2024年には44.8万時間の業務時間削減効果があったと公表しました。さらに2025年度は、業務プロセスにAIエージェントを取り入れていく方針も示しています(※2)。また、ソフトバンクも、提供する法人向けAIエージェントプラットフォームサービス を「業務ゴールを理解し、担当者と連携しながら自律的にタスクを進める存在」と位置づけています(※3)。

こうした動きを見ると、AIによる業務効率化は、もはや一部の先進企業だけの話ではなく、企業経営の現実的なテーマになってきたことがよくわかります。

パナソニック コネクトやソフトバンクも進める一方、担当部門には設計・実装の壁がある

ただ、ここが難しいところです。

経営として「進めよう」と決まっても、担当部門がすぐに実装までたどり着けるとは限りません。PoCまでは進んでも、その先の業務設計で止まる。既存システムや部門横断の流れと、どうつなげればいいのか見えにくい。運用やセキュリティまで含めると、急に話が大きく感じられる。そんな壁にぶつかる企業は少なくありません。

実際、矢野経済研究所の調査(※4)では、AIエージェントをすでに利用中の企業は3.3%にとどまる一方、導入検討中は13.5%、情報収集中は49.3%でした。関心は高いのに、実装の段階で慎重になる。このギャップこそ、担当部門が抱えやすい現実なのだと思います。

(※2) https://news.panasonic.com/jp/press/jn250707-2
(※3) https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2025/20251211_01/
(※4) https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3991

AIエージェントは、業務効率化を前に進める有力な手段になりつつある

そこで注目されているのが、AIエージェントです。
最近は言葉だけが一人歩きしやすいのですが、本質はとてもシンプルです。

これまでの生成AIが「質問に答える」「文章をつくる」といった支援に強かったのに対して、AIエージェントは、業務の流れの中で必要な情報を集めたり、手順に沿って処理を進めたり、次の作業へつないだりと、より"仕事に入り込む"存在として期待されています。

AIによる業務効率化が、単なる時短の話ではなく、業務の進め方そのものを見直す段階に入ってきた、と言ってもよさそうです。

「会話するAI」と「業務を動かすAIエージェント」は何が違うのか?

違いは、AIが「返答するところまで」なのか、「業務の流れの中で動けるところまで」なのか、という点にあります。

たとえばパナソニック コネクトは、図面や設計仕様の照合業務にAIエージェントを活用し、従来50分〜340分かかっていた作業を10分に短縮、最大97%削減したと発表しています(※5)。これは、AIが単なる相談相手ではなく、具体的な業務プロセスの一部を担い始めていることを示すわかりやすい例です。

だからこそ担当部門に求められるのは、流行のキーワードを追うことよりも、「どの業務に向いているのか」「どう連携させるのか」「どう運用に乗せるのか」を理解することです。ここが曖昧なままだと、AI活用は現場で止まりやすくなります。
(※5) https://news.panasonic.com/jp/press/jn260219-1

現場で止まらないAI活用にするために、担当部門が今できる進め方

現場で止まらないAI活用にするには、絶対的に大切なことがあります。
それは、「担当者個人の頑張りだけに頼らないこと」です。

必要なのは、AIエージェントの全体像を理解しながら、設計、開発、導入、そして業務展開までを見通して考えられる状態をつくることです。特にこれから導入を進める企業では、「PoCはやったが、その先が続かない」という状況を避けるためにも、早い段階で実務に結びつく学び方を選ぶことが重要になります。

実践的な研修で、AIエージェント導入と業務効率化の第一歩を踏み出す

実務に結びつく学び方、と言ってもどのようにしたら良いのか迷います。CTC教育サービスの新コース「AI-3026 Azure で AI エージェントを開発する」(※6)は、現場で悩みやすい企業にとってよい入口になりそうです。

この講座では、AIエージェントの設計・開発・デプロイだけでなく、MCP(AIと外部ツールやシステムをつなぐ仕組み)やRAG(社内文書などを参照して回答精度を高める手法)、Microsoft 365連携、マルチエージェントまでをハンズオンで体系的に学べます。

難しい概念を知識として追うだけではなく、「業務で使うなら、どこを押さえるべきか」を実践的に理解しやすいのが特長です。経営の期待と現場の実装のあいだにあるギャップを埋めるには、こうした実務寄りの学びが、意外と大きな一歩になるのではないでしょうか。

(※6) https://www.school.ctc-g.co.jp/course/P779.html

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