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第34回 RPAは「作って終わり」ではない。業務自動化を成功させる「フロー設計力」の重要性 (穂苅 智哉) 2026年4月20日公開

働き方改革やDX推進の流れの中で、Power AutomateをはじめとするRPAツールを導入する企業は着実に増えています。実際に、多くの企業がExcel作業やメール送信、データ転記といった定型業務の自動化に取り組み、一定の成果を上げています。

しかし、導入から数ヶ月経つと「作ったフローが止まってしまう」「エラーが出て使えなくなった」「結局、手作業に戻ってしまった」という声が聞こえてくるのも事実です。せっかく時間をかけて作った自動化フローが、現場で使われなくなってしまう。これは非常にもったいない状況です。

この問題の根本原因は、RPAツールを「作って終わり」にしてしまっていることにあります。本コラムは、現場で自動化に取り組む担当者の方はもちろん、社内の自動化人材育成を担う人事・教育部門の方にも読んでいただきたい内容です。業務自動化を成功させるために不可欠な「フロー設計力」の重要性について解説します。

なぜ「作ったフロー」が現場で使われなくなるのか

RPA導入の失敗事例を見てみると、いくつかの共通パターンが見えてきます。

パターン1:エラーが頻発して業務が止まる

最も多いのが、想定外のケースでフローが止まってしまう問題です。「Excelファイルが開けない」「SharePointのリストが見つからない」「メールの添付ファイルが存在しない」といったエラーが発生すると、フロー全体が停止してしまいます。エラーハンドリングが適切に設計されていないため、一度止まると手作業で復旧するしかなくなります。

パターン2:業務の変更に対応できない

業務プロセスは日々変化します。フォーマットが変わる、承認者が増える、新しいシステムが導入される----こうした変更が発生したとき、フローを修正できる人がいないという問題が起こります。特に作成者が異動や退職してしまうと、誰もメンテナンスできない「野良ロボット」が生まれてしまいます。

パターン3:そもそも自動化すべき業務ではなかった

自動化ありきで進めた結果、実は自動化に向いていない業務を無理やり自動化してしまうケースです。人の判断が必要な業務、例外処理が多すぎる業務、変更頻度が高い業務などは、自動化してもかえって手間が増えてしまうことがあります。
これらの問題に共通するのは、「フローを作る技術」はあっても、「業務を自動化に適した形に設計する力」が不足しているという点です。

「作れる」と「使える」の間にある大きな壁

基本的な使い方を学べる研修や書籍は数多く存在し、「クラウドフローを作成する」「デスクトップフローでExcelを操作する」「承認フローを設定する」といった機能の使い方は、比較的短時間で習得できます。しかし、現場で安定して動き続ける「使えるフロー」を作るには、それだけでは不十分です。必要なのは「設計力」です。

前述の三つの失敗パターンに対応する形で、設計力の要素を整理してみましょう。

①業務の可視化と整理(パターン3への対応)

自動化する前に、現在の業務プロセスを正確に把握し、どこを自動化すべきかを見極める必要があります。業務フローを図式化し、各ステップの目的や判断基準を明確にすることで、自動化の適用範囲が見えてきます。

②例外ケースへの対応設計(パターン1への対応)

「もしファイルがなかったら」「もし承認が期限切れだったら」「もしデータが空だったら」といった例外ケースを想定し、それぞれに対する処理を設計する必要があります。エラー処理、リトライ処理、通知処理などを適切に組み込むことが重要です。

③メンテナンス性の確保(パターン2への対応)

将来の変更を見越して、柔軟性のある設計にしておく必要があります。ハードコーディングを避け、変数や設定ファイルを活用することで、業務の変更に対応しやすくなります。処理を適切に分割(サブフロー化)することで、部分的な修正や再利用も可能になります。

④人とロボットの役割分担

すべてを自動化するのではなく、人が介入すべきポイントを適切に設計することも重要です。確認や判断が必要な箇所では承認プロセスやメッセージ表示を組み込み、人とロボットが「協働」できる仕組みを作ります。

これらの設計力は、単に「機能を知っている」だけでは身につきません。実際の業務を理解し、様々なケースを想定し、安定性と保守性を考慮した設計を行う能力こそが、業務自動化を成功させる鍵となります。

DX人材に求められる「自動化 フロー設計スキル」

企業のDX推進において、「自動化できる人材」の育成は喫緊の課題となっています。経済産業省が発表した「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方」(※1)でも、単なるツールの操作だけでなく、業務プロセスを理解し適切に設計できるスキルの重要性が指摘されています。

特に注目すべきは、AI・自動化によって「単純作業が大幅に削減」される一方で、「人の役割がより創造性の高いものに変わる」という指摘です。つまり、単純な作業を自動化するだけでなく、業務プロセス全体をどう再設計するかという、より高度な思考力が求められているのです。

人事・教育部門の立場から見ると、自動化人材の育成は単なるIT教育ではなく、企業の競争力に直結する重要な投資です。まず取り組むべきは、現在の社内の自動化スキルレベルを把握することです。「Power Automateでフローを作れる人」は何人いるでしょうか。そして、その中で「業務で実際に使えるフローを設計できる人」は何人いるでしょうか。多くの場合、前者は一定数いても、後者は限られているはずです。

次に重要なのは、段階的な教育プログラムの設計です。初心者向けの基礎研修から、実践的な設計力を養う応用研修、さらには社内展開を支援するメンター育成まで、段階的なステップを用意することで、組織全体の自動化能力を計画的に向上させることができます。そして、研修後に小規模なプロジェクトから始めて成功体験を積み重ねる機会を提供することで、自信と実践力が定着していきます。

(※1)https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230807001/20230807001-a.pdf

実践的なフロー設計力を身につける方法

「フロー設計力」は、座学だけでは身につきません。実際の業務に近いシナリオを題材に、最初から最後まで自分でフローを設計・構築する経験が不可欠です。

CTC教育サービスでは、Power Automateの基礎を学んだ方を対象に、「Power Automateによる業務自動化実践」という研修コースを提供しています。単なる機能紹介にとどまらず、「実際の業務で使える自動化」を実現するための考え方と設計力を重視した内容です。

座学では業務フロー設計のポイントを体系的に学び、実習ではSharePointリストを起点としたデータ管理、TeamsやOutlookを活用した通知、承認プロセスの実装、Excel業務の自動化、ブラウザ操作の自動化など、企業で利用頻度が高いシナリオを実践的に習得します。特に「止まらない、壊れにくいフロー」を作るための設計手法である、UI要素の管理、待機処理の設計、サブフローを使った処理分割などに重点を置いている点が特徴です(※2)。

「作って終わり」ではなく、現場で安定して使い続けられるフローを設計する力。この「フロー設計力」こそが、業務自動化を成功させる鍵です。ぜひ、次のステップへの学習機会として活用してみてください。
(※2)https://www.school.ctc-g.co.jp/course/P610.html

【おすすめコース】
Power Automateによる業務自動化実践 ~変数/遅延/エラー処理などを活用した実践フローを作ろう!~
https://www.school.ctc-g.co.jp/course/P610.html

 

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